第18章 イケナイ教育
食材の詰まった重いスーパーの袋を両手に持って、自動ドアをくぐる
智くんの顔を見るのが躊躇われたから、今度は俺から先に歩き出した
「翔くん、待ってよ〜」
後ろから智くんが呼ぶ声がするけど振り返らずにどんどん進んでいく
…やばい、さっき俺……
智くんのうなじを見た時、咄嗟にそこに吸い付きたいと…思ってしまった
「ねぇってば〜!しょ〜く〜んっ!」
さっきよりも遠くで聞こえた智くんの声
ゆっくり振り返るとスーパー入り口横にあるプレハブ
その前でぶんぶん空いた片手を振ってる
「これ食べようよ〜っ!」
しぶしぶ、来た道を戻ると既にお店のおばさんから買ったピザトーストが2つ手元にあった
「はい、翔くん腹へったっつってたから〜」
両手塞がってる俺の口元に1つを持って来てくれる
「え、と…」
「ほら、あーん?」
「……/////」
無自覚怖〜い…
首傾げて見上げたりしないでください、破壊力半端ない…
「ちょっと〜早く、俺も食べたいんだから〜」
唇尖らせてちょっと怒ってるそういうとこも可愛い…
やばいです、俺完全にこの人の行動やら言動全てに心ヤラれてます…
「ほら、早くっ」
少し照れながら口を開けてトーストを頬張った
「んまい?」
「……んまぃ/////」
普通のピザトーストなのに超絶美味く感じた
昼もとっくに過ぎて腹ペコだったから、というのも大きな要因かもしれないけど、
食べる前の〝あーん〟がさらに美味く感じさせたんだろうと1人でそう推測していた
両手塞がっている俺は結局、智くんに丸々一個食べさせてもらってゆっくり自宅へと歩き出す
歩きながら横でピザトーストを頬張る智くん
口の端っこにトマトソースが付いちゃってる
「さ、智くん…口にソース付いてる」
「どこ?」
「右、右の端っこ…」
「こっち???」
舌で逆方向をペロリと舐めとる
「そっちは左っ」
ぁあもう…手が空いていたなら俺が拭うのに…
あ、いや…舌で舐めとってあげても良かった、かな…
…………いや、だめだろ
ヤバイ、俺変な思考し始めてきた…
ペロリと舌でソースを舐めとるその可愛い舌に俺のを絡ませて…
て、だから!だめだから!
1人葛藤しながら少し曇ってきた空の下、自宅へ戻った