第16章 夏男はご立腹
- 松本 side -
「………だから…」
「…え?何、聞こえない…」
腕の中で俯きながらいう言葉は小さくさせてる体と同じくらい小さくて
「…翔…俺を愛してくれてるなら、きちんと言って…?」
頬に触れていた手で顔を上げさせる
俺だってあんな態度、本当は見せたりしたくなかったんだよ?
かっこ悪い、って頭でわかってはいるけどそれ以上に俺の心を知って欲しかったし…あなたの本心を知りたかったから
上げさせた顔で重なる瞳と瞳
俺を捉える黒い瞳は覚悟したようで一瞬目を閉じて再び開くと口も開いた
「俺の方が!年上だからっ!」
「…へ?」
「年下のお前に、年上の俺が…っ…シ、シてとかっ…恥ずかしくて言えるわけねーしっ…だから、キスも、そうなるわけでっ!」
みるみる真っ赤に染まる頬
「…そんなこと、気にしてたの…」
まだ、怒ってたこと解決したわけでもねーのに頬が緩んじゃう
「気にするよっ」
少し見下ろす彼の耳まで赤く染まるともう俺の頬は緩みきって
「じゃあ、シてほしくない、とかではない…?」
「……っ、それは、ナ、イ…っ、んぅ、んっ」
強引に顎を上げて言葉を紡ぐその唇を塞いだ
「ん、ふ…っ、んっ…んぅ」
後頭部を抑えて逃げられないようにして舌を絡める
いつもなら、俺にされるがままの翔からも絡め返してきて
口付けを交わしながら嬉しくて口角が上がる
「…はぁ…これで、機嫌直った…?」
「…まぁ、少しは?」
離した唇が普段よりも艶やかになっていて指の腹でそれをスッと撫でていく
「す、少しっ!?」
「だって…翔からしてくれるキスはまだ未経験なんだもん?」
ちょっと意地悪くそういうと俺の服を掴む手がギュッとなって
少し背伸びして近づいてきた彼の艶やかな唇が重なってきた
「…/////こ、これで満足かよっ…」
「…ふふ、まぁ?上出来、かな…でも」
「えっ!?」
お姫様抱っこして寝室へと向かう
「もっと癒してもらおっかな…」
俺に体の自由を奪われた彼の耳元で甘く囁いてやればまた顔が赤く染まっていく
着いたベッドに沈めて戸惑う翔の体を撫で回す
「んっ…ぁあ…」
「翔…愛してる」
俺の言葉に静かに頷いた彼の唇を塞いだ