第14章 『最愛』
- 松本 side -
昨日のパーティで暗に俺の気持ちを伝えた
本当はずっと隠していくつもりだったのだけど、ついこの間この楽屋でニノと会話した時に知った叔母さんの死
人間、いつ死ぬかなんてわからない
俺だってもしかしたら明日死ぬかもしれない
そう考えるようになって伝えずして死ぬのは嫌だと思ってあの花束に俺の気持ちを込めて贈った
はっきり、言葉にすれば良かったのだろうけどそれは出来なくて
振られるのが怖くて伝えただけで俺はもう満足していた
まだ誰も来ない静かな楽屋で1つ息を吐いて着替え始めた時楽屋の扉が開かれた
少し乱暴に開かれた扉の先に居たのは
「……ニ、ニノ…」
俺の最愛の人がなぜか肩で息をしながらそこに立ち尽くしていた
ふう、と一息ついたニノがゆっくりこちらに近づいてきたかと思うと急に体ごと飛び込んで来た
背中に回された手がキツく俺の体を搔き抱いてきて何事かと内心慌てていると顔を埋めたままニノが話し始めた
「俺も……っ、潤くんのこと、好きだよ…っ」
「…え?」
「だから…!好きだって、言ってんの!」
少し下から伸びてきた手が後頭部に添えられたかと思うと唇に柔らかい感触がして
すぐにその感触が離れると、触れたものがニノの唇だとわかる
「あんな、わかりにくい告白…っ…俺が気付かなかったらどうするつもりで…っ…!」
1度目よりさらにきつく俺の体を抱きしめながら伝えられるその言葉にようやく頭で理解して
「…俺たち……両想い、だっ、た…んだ?」
だらりと垂れたままだった両腕でこの前は抱きしめられなかったニノを抱き締めた
大切で愛しくて、俺の気持ちを知ったら離れていくかもしれないと思っていた人と心を通わすことができて
体の奥から湧き上がる幸福感に抱きしめる腕が震えた
「潤くん…っ…ちゃんと、言って?言葉で、聞きたい…っ」