第14章 『最愛』
顔の近くで鳴る振動音に意識が回復して
鳴るものを掴み画面を見るとマネージャーからでなにかあったのかと耳に当てた
『あ、ニノ?おはよ〜…昨日は、遅くまでお邪魔してごめんね?』
電話口から聞こえてきたのは翔さんの声で
なぜマネージャーの携帯から?なんて思いながら言葉を返す
「ううん、パーティ楽しかった…ありがと」
『そう?なら良かった…あ、そうそう本題なんだけど…俺のスマホそこに忘れてたりしないかな?』
言われてぐるりと見回すとテーブルの下に転がるスマホを見つけて
「あったよ…」
『あ、やっぱそこだったか〜!今、スタジオに向かってる途中なんだけどさそれ取りに行ってもいい?あと…10分ほどで着きそうなんだけど…』
「…うん、いいよ」
本当は、腫れてるであろう目とか見られたくないから断りたかったけど断るのも不自然だから翔さんの提案を受け入れて
普段通りの俺を作るために慌てて洗面台に向かう
鏡に映った顔は想像よりかは腫れてなくて
「…これなら、少しマッサージすれば大丈夫かな」
着の身着のままだった服を脱ぎ捨ててシャワーを浴びる
俺の体を伝いながら流れ落ちていくこの水のように、俺の潤くんへの想いも流れ落ちていけばいいのに…
そんな、どうにもならないようなことを思いながら頭から浴びて目の周りのマッサージをするとすぐに出た
部屋着に袖を通し終えたときインターフォンが鳴って翔さんがうちにやってきた
そのままリビングに置いてあったスマホを取りに入ってきた翔さんがテーブルの上のバラを見て不思議そうに話し始めた
「…これ、彼女から貰ったの…?」
「えっ?いや、ち、違うけどなんで…?」
「これ…凄い花言葉だからさ…」
凄い花言葉…?
「黄色いバラ、って『友愛』とかって意味でしょ?それが凄いの…?」
俺の言葉に翔さんはふるふる、と軽く顔を横に振ってゆっくり話し始めた