第14章 『最愛』
「ハッピーバースデー…ニノ」
少しはにかみながら渡してくれた黄色いバラはどれも大輪で思わず見とれてしまう
「・・・知り合いに、花屋に勤めてる奴がいてさ・・・綺麗なバラがあるからって・・・勧められて・・・ニノに似合うと思ったからこれにしたんだけど・・・」
まさか花束、とは思ってなくて体の奥から熱が沸き立って顔が火照ってきた
そんな俺を見た潤くんは少し困惑したような顔をして
「……これが、俺の『好き』の意味だよ」
そう言って、寝転がっている他のみんなを起こしていく
これが『好き』の意味…?
この、花束にどういう意味が…?
答えの見つからない頭で考えてみるけど知らないものの答えは導き出せなくてただ花を見つめながら立ち尽くしていると
起きたみんなを連れて潤くんは静かに部屋を後にしていった
賑やかで楽しかったパーティ会場だった俺の部屋は一人きりになると何も音を出さないほど静かで
その静かな部屋でまだぼんやりと潤くんの言葉を頭の中で繰り返していた
黄色いバラに意味がある、って事…なのかな
持っていたバラを花瓶変わりになりそうなものに挿してリビングのテーブルに置いて
スマホを手にして検索をかけてみた
「黄色いバラ、花言葉……と」
検索エンジンで引っかかった一番上のサイトを開くと
〝黄色いバラの花言葉 … 『友愛』〟
その言葉を見て少し期待していた気持ちが一気に冷めた
…もしかしたら、なんて期待してた俺…馬鹿みたいだ
そうだよ、潤くんは俺のこと友人として好きって言ったんだよ
そんなのわかってたことじゃん…
「……あ〜…もう、俺ってほんとバカ…っ…」
スマホの画面に一雫落ちるとその雫が2つ、3つとどんどん増えていく
それから俺は溢れる涙をただひたすら流して泣き続けて
枯れるまで泣くと疲れ果てた体は意識を手放した