第14章 『最愛』
ー 6月17日 誕生日当日 ー
「それじゃ!ニノの誕生日に、カンパーイっ!」
「「「カンパイっ!」」」
仕事が終わったみんなが家にやってきてくれて
持ち寄った食べ物を広げてリビングで盛大な乾杯の音頭が広がる
「あれ?主役がまだ飲んでないじゃん!ほらニノ!飲んで飲んで!」
みんな嬉しそうにスパークリングワインを流し込む中、相葉くんが俺に気づいて手元のワインを勧めてくれて
一口、口付けた
「…ん、美味しい」
「良かった!たくさん食べて、たくさん飲んで、ね!」
「…ありがと」
嬉しいんだけど、潤くんが俺の家にいるってことが気になって、正直素直には楽しめていなかった
俺の家なのになんか…そわそわする
こうなりそうな気がしてたから出来れば家でするの避けたかったのに…
俺の気持ちも知らないみんなはワイン一本軽々空けて、気付けばもう三本目を流し込んでいてかなりデキあがってきていた
「……はぁ」
「どうしたの、ニノ?お疲れ?」
「う、うわぁっ!」
「え、えっ!?俺何かしたっ!?」
溜め息を漏らしてすぐ潤くんの顔が目の前に来て、ラグの上であからさまなくらいの後退りをしてしまった
「どした〜?ニノ、松潤にチューでもされた??」
「なっ!?そ、そんなことする訳………っ」
「え〜?だってよく言ってんじゃん?ニノ可愛い〜、好きだ〜って」
「……えっ…?」
翔さんの言葉に体が固まる
潤くんが…お、俺のこと好き…?
チラリと少し離れた潤くんの顔を見るけど明後日の方向を向いていて表情までは読み取れなくて
耳まで赤くなっているのだけ確認できたとき今までにないほどに心臓がバクバクと早い鼓動を打つ
本当にそうなら、どれほど嬉しいことか…
潤くんに訊ねようかと思ったとき、急に潤くんが口を開いた
「あ!ツマミ少なくなったから軽くなんか作るねっ!大野さんも手伝って!」
「えー…俺飲みたい〜…っ…翔くんに頼んでよ〜…」
「翔さんは使いものにならないから!あなたが手伝って!」
「翔ちゃん、使いものにならないだって(笑)」
「松潤のおっしゃる通りでーす(笑)」
ラグの上で胡座をかくリーダーを引き摺るように連れ出してキッチンへと消えて行ってしまった