第14章 『最愛』
「……潤、くん…?」
胸の中抱き寄せた小さな体のかずの、微かに震える声でハッと我に帰る
「ご、ごめん…なんか、つ、辛そう…だった、から…」
慌てて体を離すと目線が泳ぐ
俺は…ずっとニノのこと好きだけど…急にこんなことされたら戸惑うよな
今まで通り、ちゃんと友人で仕事仲間の松本潤、を演じなきゃ…
目線は合わせられないまま言い訳を口にする
「急に抱きしめられたら驚く、よね…ごめん…」
「い、いや…驚いたけど…嫌じゃ、ないよ………」
「……え」
思いがけない言葉に外していた視線をニノに向ける
すると少し頬がほのかに色付いていて
その表情にうるさいくらいに心臓が跳ねた
しかも
「人の温もり、ってさ…安心する、よね」
なんて言ってくるから
「俺で良かったら……ど、どうぞ…」
これはニノを安心させるため、なんて自分に言い聞かせて両手を広げてみるとゆっくりこちらに体を寄せてきた
胸の前にニノの顔が寄せられて
……だ、大丈夫かな…ドキドキ聞かれたりしないだろうか…
心臓の音が聞かれることを恐れて広げていた手はニノの背中に触れることなく、空中でもどかしく固まっていた