第13章 特別な時間を君に
- 櫻井 side -
収録の中休憩に入ったとき、かずにLINEしてみる
『どう?楽しんでくれてるかな?』
すぐに既読は付いたけど返事がなかなかこない
もしかして、あの暗号解けてないのかな……
俺はトグル入力しかしないけど、普段からフリック入力をするかずならすぐ解けるかと思ったんだけど…
LINEの画面を見ていると『だいどころにいけ』とひらがなで返ってきて
「ふふ、解けたみたいだな」
その画面を見て独り言を呟く
たぶん、実際にあの暗号を見ながら打ったのだろう
これ以降に続くLINEは返ってこない
「もしかして、熱中してて俺からきたLINEの内容すら見てないかもな(笑)」
家の中で奮闘しているかずの姿が脳裏に浮かんだ
今頃、台所に向かって新たな問題を見てる頃かな?
誕生日だし、ゲーム好きのかずにはこういう楽しみ方もあってもいいよな
最後まで解いた時のかずはどんな顔してるだろう…
きっと笑顔で俺のことを迎えてくれることだろう
帰るのが楽しみだ…
「次のなぞなぞは難しいからまた悩むかもな…」
『なぞなぞのヒント2
そのなぞなぞに出てくる〝は〟は白くない』
そうLINEを送ったときスタッフさんの収録再開の声が響いた
さ、俺は仕事を頑張って終わらせて早めに帰ろう…
気を引き締め直して、セットへと足を進めた