第13章 特別な時間を君に
自宅の玄関の前に着いてロック解除して扉をゆっくり開く
いつもの通り、綺麗な玄関先に踏み入れると、廊下の真ん中に何か小さなものがあるのが見えた
ゆっくり近づいていくとそこには綺麗に積み上げられたジェンガが置いてあって
その前には翔さん手書きのメモ
〝誕生日おめでとう、かず。
俺が帰ってくるまで楽しんでもらえるように考えた心ばかりのゲームをやってみて?
このジェンガの中の、1つのピースに次の指令が書いてある。
ジェンガを崩さずにそのピースを見つけてみてください。〟
この前言ってくれていたことは、これだったのか
仕事も忙しくて、大変な人なのに俺のこと考えながらこんなこと準備してくれていたなんて
いろんな人から貰った沢山の気持ちも嬉しかったけど、これには敵わないな…
とても言葉では言い表せないほどの気持ちで心がいっぱいになる
「……ありがとう、翔さん…」
帰って来たら、またきちんとお礼を言おう
今は翔さんが用意してくれたこの素敵なゲームを楽しもう
廊下の真ん中でゆっくり腹這いになりジェンガと同じ目線になる
さて、どこから攻めていこうか…
下の方の真ん中のピースを少し指先でつついてみる
軽くつついたそれは引っかかりもなく向こう側に移動したからそのピースを半分ほど押し出して、残り半分は反対側に手を回して引き抜いた
その抜いたピースの全体を見るが何も書いてない
ま、さすがに1発目で答えに当たるなんて事ないよね〜…
一番上にそのピースを乗せて、次のピースを物色する