第12章 自由で、天然で、でも………
「ちょっと、聞いてる?リーダーっ!!」
「聞いてる、聞いてるよっ!そんなおっきな声出さなくても聞いてるって!」
あのあと、怒りのままに歩を進めながら握り締めた左拳を解いて迷わずリーダーに電話した
すぐに電話が繋がって部屋にいる、とわかってすぐに部屋へと押しかけて今に至っていた
電話口で大体のことを話していたから俺がなぜ怒ってるかという事も、全て知っているリーダー
カウチソファの上で胡座をかきながらただただ俺の怒りの聞き役をやってくれていた
「あり得る!?恋人の誕生日だよ?当日だよっ?それなのに、ずーっと翔ちゃん翔ちゃんって……俺頭にきてさぁ!」
「その言葉何度目だよ…もう耳にタコできちまうよ…」
「何か言ったっ!?」
ボスッと腕の中にあったクッションに拳を叩きつけてリーダーにまで八つ当たりをする
そんな俺を叱らずにふぅ、と小さくため息を漏らして
「……許してあげなよ」
穏やかな声でクッションに叩きつけた腕に優しく触れられる
「相葉ちゃんが悪気がなく言ってるって……わかってんでしょ?」
「……」
そう、わかってはいるんだよ
雅紀には悪気はないって
ただ楽しかった事話してるだけだって
わかってんだけどさ…
「……でも、嫌だったんだもん…」
ようやく、口にした素直な言葉はクッションに顔を埋めていたから小さな音となって部屋に放たれた
うじうじとクッションに顔を埋めたまま、リーダーも何も言わずにいるからそのまましばらくしていると無音だった部屋に単音が響き渡った
テーブルの上にあるスマホからの音のようでリーダーがそれを手にとってすぐ近くに持ってきたようだった
近くで鳴るそのスマホに顔を上げると画面には『相葉雅紀』の文字
「……ニノ、出る?」
「…やだ、出ないっ」
俺のスマホじゃねーし、それ…
なんで俺のじゃなくてリーダーに電話してんだよ
バカ雅紀っ!
クッションにまた顔を埋めるとリーダーがその電話を取ったようで部屋に響いていた単音は鳴り止んだ