第10章 愛を叫べ!
- 二宮 side -
本当はこの前の謝罪の時に伝えたかった言葉を、意を決して言葉にした
顔を見てきちんと言うべきなんだろうけど恥ずかしくて海に向かって思いの丈を叫んだ
言い終えた後に更に感じた恥ずかしさに後ろにいる智に背を向けたまま立ち尽くす
少しの間を置いてから背中に感じる人の温もりに智が抱きついて来たんだとわかった
「ありがとう…嬉しい……」
この前と逆で俺の腰に回された手に今度は俺が手を添えた
「智がこういうこと、言葉にして伝えて欲しい…って、言ってたの思い出してさ?だから、今回伝えた…」
「うん…」
「伝わった…?」
「うん、すっげぇ伝わった…」
「良かった…」
俺を抱きしめる手がぎゅう、と少し力を込める
「さっきの、さ……俺達の未来のために、叫んでくれたんだよね…?」
「当たり前だろ…?じゃなきゃ10年も、なんて言葉言うかよ…」
暫く、お互いの体温を感じながら寄せては引いていく波を見つめていた