第10章 愛を叫べ!
「智…着いたよ、起きて」
「ん、ん〜……?」
「ほら…」
優しく俺の体に触れるかずの手
目を覚ました俺は優しく起こしてくれたそれをなぜか払いのけてしまった
「っ!いってぇな…なんだよ、そんなにしなくたっていいじゃんか…」
「俺に、触んな…っ」
咄嗟に心から思ってもみないことを口にしてしまう
俺の言葉に黙ってしまったかずとの2人きりの空間が嫌でドアを開けて1人車から降りた
降りたそこは自宅の駐車場ではなく、どこかの海辺だった
なんで、海…?
大好きな潮風を浴びて目の前の海辺に平行にある柵へと移動すると車のドアが開いた音がした
「この前は、本当にごめん…」
そう聞こえたあと、後ろから抱き締められる
謝りたくて、わざわざ海に連れて来てくれたんだ…
腰に回ったかずの腕に俺の手を添える
「俺の方こそごめん…意地張って、かずに強く当たり過ぎた…」
俺の肩に顔を埋めるかずがふるふると顔を横に振って「そうされて、当然…」と小さく呟いた
そのまま暫く立ち尽くしていると
「お前が楽しみにしてたデート…近いうちに、やり直そう?」
ぎゅうっと腕に力を込めて俺を抱きしめながらかずが呟いた
「本当に?」
「本当…」
欲しかった言葉に意固地になってた心がほぐれていく
「そうだ!俺カキフライ食べたい!カキフライの美味しいお店リサーチしといて!」
「了解♪」
かずの腕の中で体を反転させて向き合い目を閉じると甘くて蕩けるような長いキスを交わした