第10章 愛を叫べ!
- 大野 side -
あの日から家では不穏な空気が漂っていた
同じ時間に居ても食事も別
寝るのは俺がソファで寝てかずのことを避けていた
いい大人なのに拗ねたまんまなのがいけないことはよくわかってる
でも、俺が楽しみにしていたデートを一瞬でもおざなりにされたことが俺を意固地にさせていた
「智?帰ろう?」
5人での収録終わり、楽屋でいつも通りそう声掛けられる
返事もせずに駐車場へと1人足早に歩くと後ろからついてくるかずの足音がした
ピッと車の鍵が解除された音を確認してかずの愛車の助手席に乗り込む
「じゃ、帰るか…」
何事もなかったかのように普通に話すかずはハンドルを握るとすぐ発進させた
運転席には目もくれず、変わっていく外をぼんやりと見つめる
なんだよ…何事もなかったかのようなその態度…
かずからもう一度謝ってくるまで絶対俺からは折れてやらないから!
また意固地になった俺はかずと口を聞くことなく、外をぼんやりと見つめ続けた
しばらくそうしていたけど、いつの間にか仕事の疲れからかそのまま寝入ってしまった