第15章 shine of the palm
❁❁❁ 万理side ❁❁❁
「こんにちはー!宅配便の受け取りお願いしまーす!」
事務所の玄関から聞こえて来る声に返事をして、きっとその荷物は先日発送したと連絡があった事務用品かな?と考えながら席を立つ。
「お待たせしたすみません。あれ?荷物はこれですか?」
てっきり大量のコピー用紙を含む事務用品だとばかり思っていたら、配達員さんが持っていたのはさほど大きくないラッピングされた箱がひとつだけ。
「佐伯 愛聖 さん宛のお届け物です。こちらに受け取りの印鑑をお願いします」
「あ、はい・・・ご苦労様です」
手にしていた社版を押して荷物を受け取り、ドアを閉め、宛名をもう1度確認する。
事務所の住所で愛聖宛に?
所属するタレントにファンから贈り物が届く事はよくあるけど・・・一応、送り主はチェックしといた方がいいよな。
以前起きた事を思い出して、もしそれが怪しげな物だったりしたら、愛聖が開封するのに立ち会わなければならないし。
そう思い、送り主を確認すれば・・・
「これ・・・って、千じゃないか。え、でもなんで?」
千なら顔を見た時に直接渡すことも出来るだろうに、なんでわざわざ宅配便?
誕生日・・・でもないし・・・季節のイベントでもない。
・・・と、なると。
ただ単に千の気まぐれ、だな。
配達物を持ったまま自分のデスクに戻り、愛聖が帰って来たら渡せばいいかと仕事の続きを始める。
今日は社長の同行でオーディションの掛け持ちしてるから。
全部合格すればいいのに・・・なんて送り出したけど、そんな贅沢は言ってられないと笑ってたっけ。
壮五くん家の事情が絡まない仕事を探してみると社長は言ってたけど・・・ひとつでも多く、合格しますように。
パソコンの画面から顔を上げて外を見れば、いつの間にか外は、青空から優しい赤へと色が変わり出していた。
きっと大丈夫、小鳥遊社長が着いてるんだから。
そんな気持ちを閉じ込めながら、俺はまた・・・パソコンへと向かい合った。