第15章 shine of the palm

下「僕のやってる音楽番組に来てくれた時もさ、数字良かったんだよ？それでさ、今度新しくバラエティ番組をやるんだけど、あの子たちがバラエティ嫌じゃなかったらレギュラーで来てくれないかなぁ？って思ってるんだけど、どう？」

下岡さんの担当する新番組･･･そう言えば初回に私もゲストでどう？なんて電話があったんだっけ。

紡「本当ですか？！」

下「日本中が元気になるような番組にしたくってさ？ほら、あの子たちって若くて元気いっぱいじゃない？」

ね？と大きく笑って、下岡さんが紡さんの肩を叩く。

下「そう言えば、ミュージックフェスタもなかなか良かったよ？ちょっと失敗しちゃったところもあったけど、その分、反響もあってね･･･僕の若い頃の苦い経験を思い出したよ」

『下岡さんの若い頃･･･なんかちょっと、想像出来ないような･･･』

下「コラコラ、僕にだって若くて経験がない時期はあったんだからね？思い出すよなぁ･･･僕もあの子たちみたいに兄貴分のツテで初舞台のチャンスを貰ったのに大失敗しちゃってさ･･･それもあって、応援したくなっちゃうんだよねぇ、彼らのこと」

あれ･･･？今なんか、ちょっと疑問に思うところがあったような？

紡「あの、兄貴分のツテって？」

私が思ったように紡さんも疑問を感じたようで、下岡さんにそれを聞き返した。

下「あれ、知らないの？TRIGGERの八乙女くんがあの子たちを推したんだよ。あの子たちを、ミュージックフェスタにって」

紡「TRIGGERの八乙女楽さんが？！」

･･･楽、そんな事なにも言ってなかったけど。

下「あちゃー･･･もしかして言っちゃいけなかったのかな？？でももう言っちゃったけど」

『大丈夫じゃないですか？楽も、そうならそうって言ってると思いますから』

紡「まさか八乙女楽さんがアイドリッシュセブンの後押しをしてくれていただなんて･･･私、何も知らなくてちゃんとご挨拶も出来てなかった･･･」

下「まぁ、僕がいま話してた初めて知ったんだから仕方ないんじゃない？どうしてもって言うなら、TRIGGERは今日ここの局に仕事で来てるよ？さっき十くんとトイレで会ったからね。楽屋は確か･･･２つ上の階のはずだよ」

それを聞くと紡さんは下岡さんにお礼を言って私を見た。

紡「愛聖さん、私いまから伺ってお礼を言ってきます！」