第15章 shine of the palm
紡「愛聖さん、お疲れ様でした」
『ホントに疲れた・・・千も百ちゃんも悪ノリし過ぎだし』
ふぅ・・・と大きくため息を吐いて見せれば、笑っていた紡さんが私の背後に向けて新たな笑顔を見せる。
紡「Re:valeさん、お疲れ様でした」
丁寧に頭を下げる紡さんを見て振り返れば、にこやかに笑う2人がそこに立っていた。
千「今日の同行は小鳥遊社長じゃないんだね」
百「楽屋に来たのはマリーだけだったから、もしかして1人かと思ってたけど、ちゃんと同行者いるじゃん」
『いいでしょ別に。楽屋にはちゃんと顔だけ出したんだから。それに紡さんはアイドリッシュセブンの事でいろいろと連絡事があるから私がそっちに時間を使ってってお願いしたんだし』
二階堂さんのドラマ出演と、そのドラマの主題歌をアイドリッシュセブンを起用して貰える事で打ち合わせは社長が行くことになって。
だから今回の同行は社長の代わりに紡さんだったんだけど・・・それも早々と千たちにバレたら、なんか面倒だなって思ったから。
千「それはそうと、サウンドシップ出るだって?僕たちはスケジュールの都合で出れないんだけど、頑張ってって彼らに伝えてね?」
百「アイツらに、また飯でも食おうぜって言っといてよ。前の時もスゲー楽しかったからさ」
・・・前の時って、百ちゃん最後の方は酔っ払い過ぎて千が迎えに来たんじゃなかったっけ?
あの時はもう、ホントに大騒ぎで。
でも、百ちゃんのおかげで私も楽しかったのは、そうだけど。
紡「はい!ありがとございます、必ず伝えます」
『あー・・・紡さん?そんなに丁寧に返さなくて大丈夫たがらね?だって千だし』
千「そうね・・・僕としても愛聖がお世話になってるんだから、もっとフレンドリーに接してくれて構わないよ?それじゃ、僕たちはこの後もう1本撮りがあるから、またね?」
紡「あ、そうでしたよね・・・すみませんお時間頂いてしまって」
平気平気と百ちゃんが手を振って、先に出た千の背中を追い掛けるのを見送ってから、私たちもスタジオを後にした。
私がお世話になってるって・・・千、何目線?!とは思いつつも、そこを掘り起こすと長くなりそうだからと、こっそり肩を竦めて楽屋へと続く通路を歩いた。