第14章 心の行方
「その騒動に、一瞬でもそれに加担したんじゃないかと疑惑の目を向けられた佐伯さんの気持ちはスルーするつもりですか?」
眉ひとつ動かさずに七瀬さんを見れば、たちまちシュンとした顔を浮かべる。
陸「ごめん・・・」
『いえ、大丈夫です。その誤解も解けている訳だし、あの曲は私も元気なアップテンポで好きでしたけど・・・戻って来ないことには変わらないですし・・・』
伏せ目がちに言う佐伯さんを見て、他のみんなもなにも言えずに小さな息だけを吐き出した。
「だからこそ、私たちがTRIGGERに追いついて、そして追い越せばいいんです・・・今度の仕事、生放送ライヴのサウンドシップのアーティスト共演リストは確認しましたか?そのTRIGGERと共演予定ですよ」
リビングの棚に置いたままの資料をテーブルに広げれば、それぞれがチラリと目を通す。
陸「ミュージックフェスタ以来の共演だな・・・今度こそ天にぃに本当のオレたちの力を見せるんだ」
資料を掴み手にギュッと力を入れた七瀬さんが、そのままみんなの顔を1人ずつ見ては目を輝かせる。
環「っていうか、サウンドシップの司会ってマリーはやんないの?」
『え??私、ですか?この番組の司会進行は男女とも局アナさんだと聞いてます。ミュージックフェスタの時はミスター下岡さんから直接の口利きでしたから』
環「じゃあ、マリーは来ないの?」
『どうでしょう・・・その日は特にテレビ局の仕事はありませんから、ここでみんなの事を応援してる感じになるかと』
そう言った佐伯さんに、四葉さんがあからさまにガッカリした顔を見せる。
環「あん時みたいにマリーがいたら、俺スッゲー頑張れんのに」
三「いや、いなくても頑張れよ!お前さっき頑張るって言ってただろ!」
小「そうだ・・・じゃあ、こういうのはどう?きっと大反対する人はいないと思うけど」
紡「提案って、どんなものですか?」
小「ま、ちょっと僕の考えた提案を聞いてみてよ?」
四葉さんの肩を揺する兄さんを見て笑いながら、社長がひとつの提案を話し出し、私たちはそれを聞いて・・・驚いた。