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〖 IDOLiSH7 〗 なないろパレット

第1章 輝きの外側へ


この一瞬まで、神様なんていないと思ってた。

でも、私の目の前にいる人物は紛れもなく探し続けていた人で。

万「愛聖、なのか?」

『万···理、なの?』

違っても構わない。

例え人違いであったとしても、その名前を呼んでみたくて···

だけど今、確かに私の名前を···呼んだ。

『万理···ずっと探してたのに、今までどこに、』

万「···立てる?」

私の言葉を遮るように、万理が手を差し伸べて瞳を揺らす。

ー危ないじゃないか!キミ!ケガは?! ー

車から降りて来たドライバーが駆け寄り、私に声を掛けて来た。

万「ケガは、大丈夫です。連れがご迷惑をお掛けしました。申し訳ありません」

私の顔を隠すように自分の胸に押し当て、万理が丁寧に謝罪をしてくれる。

ー ケガがないなら良かったよ、それじゃ ー

立ち去る足音が消え、代わりに車が走り去る音が聞こえてくる。

『万理···』

万「送って行くよ。こんな時間に有名人が歩き回ってたらダメだろ?」

さ、行こうか?と私の背中に手を当てる万理は、あの頃とは少し変わってしまった気がして寂しくなる。

それだけ時がみんなを大人にしてしまった、と言うことなのかも知れない。

万「ほら、遅くなると事務所の人に叱られるから」

『事務所なんて、関係ない、から。大丈夫···』

万「何を言ってんだよ、愛聖。いまは八乙女プロの、」

「違う」

万「何か、あったのか?」

「それも···違う」

じゃあ、と疑問符を投げる瞳に耐えられず、スっと視線を逸らす。

万「とにかく、送って行くから。女の子の夜道の一人歩きは危ないし」

私には、帰る場所なんてない。

でも、そんな事を数年振りに会う万理には···言えないよ···

自分のシャツをキュッと握りながら、あの日、私を追いかけて来た龍に見せた笑顔を作り出す。

『万理、いろいろありがとう。久し振りに会えて···嬉しかった。万理と会えなくなってからずっと、神様なんていないんだって思ってたけど···粋な神様もいるんだって、思った』

万「愛聖?」

「一人で帰れるから、心配しないで?それから、元気で···」

笑わなきゃ···そう思うのに。

どうして笑えないんだろう···

『また万理に会えて、よかった···じゃ、またね?』









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