第3章 新しい環境
『万理に教えて貰った動画を見たりしながら、最初は何となくマネしてみたりしてて。その内、ここはこういう風に移動するんだ、ステップはこうなんだ?とか。気が付いたらハマっちゃって、みんなの曲やダンスが大好きになってた』
ガラガラの大きな会場で。
ほんの少しの、観客の前で。
広いステージでひとりひとりが大きな光を輝かせながら歌って踊るみんなに、いつの間にかクギ付けになって。
何度も見ているうちに自然と振りマネとかしてる自分がいて。
ファンになる人達は、きっとこうやって少しずつ好きになって行くんだろうなって思った。
そして私も···以前みたいに事務所の力で貰うことが多かった仕事じゃなく。
佐伯 愛聖だから使いたい。
そう思って貰えるような···人間になりたいと思った。
三「つーかさぁ、八乙女事務所っていったらTRIGGERの事務所じゃん?だったら愛聖もそれなりに色んな教養受けたんだろ?」
『まぁ···』
三「だったら、そんな必死にレッスンしなくても平気なんじゃねぇのか?」
う···何気に三月さん、痛いところを突いてくる。
『実は、ですね···私、演技やダンスレッスンしてましたけど、運動に関してはちょっと向いてないというか』
環「ダンスは出来んのに?」
『出来るって言っても、ほんのちょっとで。だから自転車も乗れなくて、楽にはよくからかわれました。それにみなさんの曲とかで体動かしてれば、ダイエットも兼ねられていいかなぁ?なんて···アハハ···』
運動が出来ない代わりになんて、ちょっと失礼かなとは思うけど。
何もしないでいるより、楽しく体を動かせば···運動音痴も治るかな···なんて。
環「ダイエットなんかいらなくね?さっきだって、胸はバーンで、ウエストなんて折れそうだったじゃん?」
『なっ!!』
何気にしっかりいろいろ見てるじゃないですか!と言おうとしたら、アチコチでゴホッとお茶を吹き出す人達に遮られてしまう。
ナ「さっきタマキは、一番先頭で見てマシタ」
一「よ、四葉さん!あなたは女性に対してなんて事を?!それから六弥さん、誰が先頭だったかは関係ありません!」
環「だってマリーがダイエットしてるとか言うから」
三「問題なのはそこじゃねーよっ!」
壮「環くん、とりあえず落ち着こう?!」