第14章 心の行方
けど、そのスポンサーっていうのが・・・まさか、そんな・・・
じゃあ、レギュラー番組がなくなってしまったのは。
僕の・・・せいなのか・・・?
環「すみません!いま来た!」
どこか遠くで・・・環くんの声が聞こえた気がする。
だけど、いまはその事さえ頭には入って来ない・・・
「はぁ・・・2度とこんなことがあったら、次こそMEZZO"は使わないからな!」
「はい・・・本当に申し訳ありませんでした・・・失礼、します・・・」
深々とまた頭を下げて、プロデューサーの背中を見送った後にMEZZO"の為に用意されていた楽屋へフラリと戻る。
無機質なドアを押し開けながら、何度も、何度も・・・これまでの事を考えていた。
僕と環くんが引き抜かれそうになって。
社長が僕たち2人を守る為に、MEZZO"としてみんなより先にデビューする事を決めた。
アイドリッシュセブンとしてデビューする為に、僕たちに道を開いてくれと・・・そう、言っていた。
ミューフェスで失敗してしまった一織くん。
誰よりも努力を重ねてきた三月さん。
どんなに苦しい時も、辛い顔なんて見せなかったナギくん。
爆弾を抱えながらも、必死で頑張ってくれてた陸くん。
どんなときも、みんなを纏めてくれてきた大和さん。
みんな・・・みんな苦しい思いをしていたのに、それでも僕たちの背中を押してくれてた。
なのに僕たち・・・いや、僕は・・・そんなみんなの希望を、潰してしまったのか・・・?
キリキリと痛み出す部分をグッと押さえながら、少しづつ帰り支度を進めていく。
環「そーちゃん!そーちゃんごめん!・・・今日のは俺が悪い!ホントにごめん・・・」
いつの間にか側にいた環くんが、何度も謝りながら僕の腕を掴む。
連絡もなく遅れて来た環くんも、確かに大変な事をしてしまったけれど。
でも、そうじゃなくて・・・
「環くん・・・そこ、退いて・・・」
痛みが激しくなっていく場所を庇いながら、環くんに掴まれている腕を振りほどく。
環「そーちゃん、2度と遅れたりしないから!だから、」
「もう・・・いいから・・・先に帰る」
環「そーちゃん・・・」
悲しそうな顔を見せる環くんに向けて出た言葉は、そんな乾き切った言葉だった。