第14章 心の行方
❁❁❁ 壮五side ❁❁❁
いったい環くんはどうしたって言うんだ。
今日は学校が終わったらすぐにテレビ局に向かうように、何度も伝えていたのに。
「おい!MEZZO"揃ってないじゃないか!どうなってるんだよ!そんなんで大丈夫なのか!!」
「申し訳ありません!すぐに来ると思いますので・・・」
さっきから苛立ちを隠せないプロデューサーに、僕は何度も頭を下げる。
「そんないい加減なこと言われたって困るんだよ!ったく・・・最近売れてるからって調子に乗ってるんじゃないのか!」
「申し訳ありません・・・」
僕たちの出番はもうすぐ来そうだって言うのに、環くんはまだ来る気配もない。
「MEZZO"の逢坂さん、怒られてるな・・・あのプロデューサー怒らせると怖いからなぁ」
「でも、相方はどうしたんだ?歌もあるのにまだ来てないとか、そろそろやばいぞ?」
ひそひそと話す他のスタッフの声が、更に僕を肩身を狭くしていく。
「MEZZO"の出番までもうすぐだけど、まだ揃ってないから、他の出演者を繰り上げて放送するってプロデューサーがカンカンだよ・・・」
「申し訳ありません・・・もうすぐ、来ると思いますから・・・」
代わる代わる様子を見に来るスタッフさえ、次第に苛立って行くのを感じながら、環くんはまだなのかと何度も扉の方を振り返る。
けど・・・どれだけ他の出演者を繰り上げても。
番組が終わるまでに環くんが来ることはなかった・・・
「本当に申し訳ありません・・・今後は2度とこのような事がないように厳しく注意して・・・」
「当然だ!お前らの代わりなんて、いくらでもいるんだからな!!」
「申し訳ありませんでした・・・」
「そんないい加減なことをしてるから、FSCからNG食らってレギュラー降ろされるんだよ!」
「・・・え・・・?」
FSC・・・って・・・そんなまさか・・・
「あんな大手企業に嫌われたら、これからやって行けないぞ!スポンサーには逆らえないだからな!」
「はい・・・申し訳ありませんでした・・・」
そんな・・・FSC、って・・・
怒りが収まらずに怒鳴り続けるプロデューサーを前に、そのプロデューサーから聞かされた事実が頭の中を埋めつくして行く。
アイドリッシュセブンが・・・降板させられたのは、スポンサーの以降だとマネージャーから聞かされていた。