第14章 心の行方
「別にいいけど、早く教えてよ。じゃないと、時間が・・・」
言われるままに隣に立って、何枚か写真を撮る。
「わぁっ・・・夢見たい・・・環さんと一緒に写ってる。あ、あの、握手して貰ってもいいですか?」
「いいよ、ほら!なぁ、あのさ・・・理のこと早く、」
「・・・キスしてください」
「いいよ・・・えぇっ?!」
い、いまキスって言ったか?!
「理さんのこと知りたかったら、私とキスして・・・テレビで俺の彼女だって言ってください」
震えるような声で、そして、俺とは目を合わせずに言うのは、もしかして・・・だけど。
「あんた、もしかして・・・理のこと知ってるって言ったの、嘘だったのか?」
「ごめんなさい・・・前から環さんのファンで、環さんとお話したくて・・・それで・・・」
やっぱり・・・そうなのか、よ・・・
「ずっと大好きで、ずっと応援してたんです!そしたら今日たまたまあの場所で環さんを見掛けて・・・」
「なんで?なんでそんなことが出来んだよ。俺が好きで、俺のファンだとか言って、応援してるって言いながら・・・なんで俺を騙したり出来んだよ!!」
何度も何度も謝り続けるのを振り切って、記憶にある限りの道を走り出す。
理のいる場所、知ってるって言ったから信じたのに。
俺が理を探してるの知ってて、騙しやがって!
そーちゃんだって・・・待たせてんのに・・・!
ガムシャラに走り続けて、やっと見知った通りに出て、予定の時間はとっくに過ぎてるけどテレビ局に着いた。
息が上がるのを堪えて、廊下を走り抜ける。
「すみません!いま来、」
「遅いよ・・・放送終わっちゃったよ?君のせいで今日はめちゃくちゃだ」
近くにいるスタッフに声を掛ければ、呆れた顔をしながらチラリと俺を見る。
「すみません・・・あの、そーちゃんは?」
「あそこでずっとプロデューサーに怒られてるよ。あぁ、君は行かない方がいい。説教が長引くだけだからね」
壮「大変申し訳ありませんでした・・・今後は2度とこんな事がないように厳しく注意しますので・・・本当に、申し訳ありませんでした・・・」
スタッフが指さす方を見れば、そこには番組プロデューサーにひたすら頭を下げて謝り続ける・・・そーちゃんの姿があった・・・