第14章 心の行方
楽しそうにニヤニヤとする大和さんに、一織が呆れながらため息を吐く。
「っていうか。この際、一織のラッキーなんちゃら置いといてだな」
一「だから違いますから!」
「分かったから、とりあえず聞けよ。なんでそのスポンサーの親元ってやつが、アイドリッシュセブンだけならまだしも、同じ事務所に所属してるってだけで愛聖まで降板させるんだ?ここの事務所が誰かに恨まれてるとか、そんな感じなのか?」
例えば、他に正当な理由があったとしてアイドリッシュセブンや愛聖が降板ってなるなら、まぁ・・・納得はいかないにしても、だ。
なのに、こんないかにもなタイミングで両方が同じスポンサーの親元絡みでってなると、いったいどんな理由が?とも取れる。
大「愛聖が、もし前の・・・八乙女プロダクションにいる時に恨まれてたとして。たまたま今回の事が重なったとかだったらと思うと、辻褄が合わない部分もあるよな。特に愛聖の場合、その降板させられた仕事の前にもCM撮影だって、ドラマ撮りだってしてる。愛聖単体なら、とっくにそんな事が起きていても不思議じゃないだろ?ってことは、だな」
一「私たちアイドリッシュセブンの方に、大きな理由がある・・・という事でしょうか」
一織が言った言葉に、大和さんが少し考えてから頷く。
大「はっきりとは肯定も否定も出来ないけど、今回の件に関しては愛聖は巻き込み事故みたいなもんだろうな」
巻き込み事故・・・そう比喩する大和さんに、その場の誰もが口を閉ざす。
とは言っても、環も壮五もMEZZO"の仕事でいないし、ナギは多分・・・あの顔を見る限り、例えがよく分からないとしても、どんな事なのかってのは理解はしているだろ。
陸「愛聖さん・・・さ。その化粧品のイメージキャラクターに決まったって話してくれた時、凄く喜んでて。おめでとうって言ったオレに、ありがとうって嬉しそうに抱き着いて来たりしてたのに」
それは、オレもその場にいたからよく覚えてる。
移籍して何もないスタート地点からの努力が、ゼロからの努力がどれだけ大変なのかも・・・オレも知ってるよ。
だからこそ、悔しいんじゃねぇか・・・