第14章 心の行方
環「マリーが先生じゃなきゃ、頑張れねぇ気がする」
『また課題がある時は先生役やりますから、それでいいですか?』
環「じゃあ、そん時は頑張る」
あっけらかんと言う四葉さんに私は笑い、一織さんは盛大なため息を吐いた。
環「あ、そだ。そういやマリー、なんか新しい仕事決まったんだって言ってたよな?あれ、なんだっけ?」
一「確か大手化粧品メーカーのイメージキャラクターだとか言ってませんでしたか?」
『あ・・・それは・・・』
なんて言ったらいいんだろうかと、思わず口を噤む。
適当なことを言って、この場を凌ぐのは出来ればしたくはない。
けど、本当の事を言って・・・悲しませてしまうのはもっと嫌だと思うし。
環「マリーはスゲー頑張ってんじゃん。ヤマさんとのドラマとか、あとはそーちゃんも出てる時代劇とか。それに新しい仕事もってなったら、今よりもっと忙しくなるって事じゃん?」
『それはまぁ、そうではあるんですけど・・・えっと・・・なんて言うか・・・』
一「なんですか?なんだか歯切れが悪い物言いですが」
あからさまに様子がおかしいと感じたのか、いおりさんが訝しげな眼差しを向ける。
『実は・・・あの仕事、白紙になったんです』
嘘はつきたくない。
でも、アイドリッシュセブンと同じ事務所だから外されたなんて言いたくはない。
だけど、まっすぐな瞳を向ける彼らから逃れることも難しくなって、ポツリと本当の事を言ってしまう。
環「外されたって、なに?」
『・・・いろいろと事情があって、あの仕事はなかったことになりました』
一「それってまさか、降板させられたという事ですか?!」
『・・・はい』
手元にあるカップをグッと包み込み、合わす目もないままに、そう・・・返事をした。
環「降板って、俺たちと同じってこと?」
一「それ以外にないでしょう。それで、降板させられた理由はなんです?」
『スポンサーの親元の・・・意向、だそうです』