第14章 心の行方
「し、してないしてない!変な妄想なんかしてないぞオレは!」
三「ムキになるところが怪しいなぁ、おい?」
「だから、してないっつーの!」
・・・ちょっとはしたけどな!
陸「愛聖で変な幼妻の妄想って、例えばどんな?」
一「まぁ・・・大方、世間一般の新婚さんいらっしゃい的なやつなんじゃないんですか?お帰りなさい、お風呂にする?ご飯する?それとも・・・?みたいな」
やめろイチ!
陸「お風呂にする?ご飯する?は何となく分かるけどさ、それともって、なにすんの?」
リク・・・お前もそれ以上はストップしとけ、頼むから。
ナ「Oh!ワタシ分かりました!ヤマトはマリーと・・・Nooooo!!許しませんよヤマト!ワタシのマリーとあんな事やこんな事をしようとしてましたね?!」
三「うわぁ・・・ヤラシイなぁ、おっさん・・・」
「だから違うっての!この話は終わり!以上!」
一「あからさまに話を終わらせようとするあたり、怪しいですね」
「だぁっ!もういいっての!それより今は、これからの事を考えなきゃだろ」
大きく息を吐きながら言えば、途端に静まり返る。
「とりあえず今は、マネージャーがここへ来るのを待つしか出来ないけど・・・どんな話になってるんだか」
三「だよな・・・もうすぐ収録だって時に、いきなり降板とか・・・ねぇよ」
一「兄さん・・・」
ここへ辿り着くまで、オレたちはいろいろな壁を乗り越えて来た。
リクの病気の事も、タマがソウと抜けるって言い出した事も、ミューフェスでの事も、デビュー曲の事も・・・ひとつひとつみんなで壁を乗り越えて来た。
やっと大きな光を掴みかけたってのに、なぜ急に?
オレは業界の裏を全く知らないワケじゃない。
いったい裏で、どんな事が起きてるんだ?
俯いて肩を落とすミツの背中をひとつ叩きながら、空をゆっくりと流れていく雲を見つめていた。