第14章 心の行方
もし私がなにか失礼な事を知らないうちにしてしまっていて、それが引き金になっているんだとしたら・・・
それなら私だけを排除すればいい話なのに。
やっとみんなが全員揃って動き出して、やっとこれからって時なのに・・・そんなのって・・・ないよ・・・
万「愛聖、落ち着いて?」
『落ち着けるわけないよ!だってみんな、あんなに頑張ってるのに!ツアーだって大盛況でもうすぐ終わるんでしょ?!なのに、どうして・・・私だけじゃなくて、みんなまで・・・なんで・・・』
悲しさと、悔しさと・・・どこにもやれない絶望感が心を埋めつくし・・・気がつけば涙が溢れ出していた。
小「愛聖さんも、もちろんアイドリッシュセブンのメンバーも何も悪いことなんてしてないよ。むしろ、電話をくれた担当者さんも納得はいかないけど親元がそう言ってるから従うしかないって申し訳なさそうに言っていたよ」
『じゃあ・・・どうしてですか?』
小「それは分からない。けど、結果的にそういう決定が出されたなら、僕たちはこれ以上なにも出来ない。ここがそういう世界だって言うことは、キミもよく知っているだろう?」
『・・・はい』
小「気持ちを切り替えよう。仕事がひとつなくなってしまったのは確かではあるけど、まだ愛聖さんには出来る事があるからね。それに費やす時間が増えたと思えば、気持ちは楽になるんじゃない?それに、そうする事でその仕事に関わる彼らも喜ぶかもよ?」
ね?と微笑みながら社長がテーブルに置かれたディスクを指差す。
『でも私まだ、千が作ってくれた曲を選んでもないのに・・・』
万「千が愛聖に曲を?」
『うん・・・まだちゃんとは決まってないんだけど、私が書いた詞に、千が曲をつけたものを歌うっていう約束があって。まだ、ほんとにまだ最初の段階ではあるんだけど』
いくつか書いた詞の全てに、千は曲をつけてくれた。
どれもこれも、その詞のイメージに沿った曲だったから、その中からどれかひとつを選ぶなんてなかなか出来なくて。
小「実は、愛聖さんにはまだ言ってなかったんだけどね。千くんからこの前ちょっとした提案があったんだよ。それで、僕もその話はいい話だと捉えて、愛聖さんに話す前に承諾しちゃったんだよね」
千が社長に提案?
いつの間に?