第14章 心の行方
『社長、来週のCMの顔合わせなんですが・・・』
先日受けた化粧品のオーディションが無事に通り、イメージキャラクターとして決定されたという通知を見ながら、社長室で今後のスケジュールについて打ち合わせをしようか?と言われさっそく資料を捲りながら少しづつ話を進めていた。
小「そうだね。その日はドラマ撮影の方は夕方からになってるから、特に問題なく顔合わせには出席出来るよ」
『それなら午前中からの顔合わせになってるので問題ないですね・・・でも、オーディションに合格して良かった・・・』
一切のメイクなしでのカメラテストや、撮影で使われる予定の商品を使ってのメイク・・・私には少し大人カラーだったりもして、実際のところ結果がどうなるから不安で仕方なかった。
小「僕は絶対に大丈夫だと思ってたよ?だってノーメイクの愛聖も普段から見てるし、それにあの時にメイクされた愛聖さんは、ちょっと大人な感じがして素敵だったからね・・・万理くんにも見せてあげたかったくらいだよ?」
『なんでそこで万理の名前が?』
小「だって、万理くんだってオーディションの事を結構気にしてたんだよ?キミがいない時は、いっつもそわそわしてる感じで。あ、今のは万理くんには内緒ね?」
人差し指を立てて笑う社長を見て、私も肩を竦めながら笑って返した。
小「時代物のドラマも、大和くんとの共演してるドラマの撮影も大詰めになって来て忙しいとは思うけど、僕も一緒にいるから頑張ろうね」
『はい!社長こそ私なんか足元に及ばないくらい忙しい思いをしてると思うので恐縮ですけど、よろしくお願いします!』
ドラマ撮影が終わっても、その後にスケジュールが埋まって行く嬉しさを前面に出して言えば、社長は忙しいのは有難いことだからね、と笑って、ぴょこんと社長の膝の上に飛び乗ったきなこちゃんをひとなでした。
小「さて、もうひとつ大事な仕事の話をしようか?」
『もうひとつの?』
例のCM以外には、まだオーディション受けてないのに?と頭の周りにハテナマークを散らせれば、社長が1枚のディスクをヒラヒラとさせた。
小「ほら、忘れたの?Re:valeの千くんから渡されてるコレ」
『それ、ですか』
でもまだどの曲に絞るか決められてないんだよなぁ・・・と難しい顔を見せた所で、社長室のドアがノックされる。