第14章 心の行方
紡「・・・レギュラー番組が、降板になるかも知れないって・・・」
やっぱりさっきの降板ってのは、本当の事だったんだ・・・
「なんで突然そんな事に?!」
思わず声を出せば、マネージャーは更に困り顔になって俯いてしまう。
紡「私にもまだよく分かりませんが・・・スポンサーの意向だそうです」
三「スポンサーって・・・この番組の提供は、ってやつ?」
紡「はい、スポーツブランドメーカーがスポンサーだったんですが・・・その親会社というか、グループ元かアイドリッシュセブンは使うなと言われたらしいです」
一「あのスポーツブランドのグループ元って言うと・・・鉄道や車を初めとして、その他にも様々な域で多様に経営しているあのFSCが直接ですか?」
FSCがグループ元だなんて・・・だけど、どうしてオレたちがそんな大企業に睨まれたりするんだ?
やっと・・・やっとみんなで動き出せたばかりだって言うのに・・・
紡「とにかく、事務所に戻ったら私もきちんと確認してみます。先程のお話だと、事務所には既に連絡済みだと言う事でしたので、大神さんならもっと詳しい事を知っているかも知れません」
大「だな。社長は多分、愛聖に同行してるだろうから、万理さんから連絡はあったかも知れないけど、愛聖が現場に入ってるかもって考えたら、生死をさまよう緊急事態以外の連絡するのはどうかと思うしな」
三「けど、なんでこんな急に・・・」
「オレも同じことを考えてるよ。だけど、いまこのままここで立ち止まってたって仕方ないし、とにかく事務所に戻って万理さんに話を聞くしかないよな」
グッと握りしめた手が冷たくなるのを感じながら、行こう・・・と1歩を踏み出す。
一「待って下さい七瀬さん。私たちがいま1番優先すべきはファイナルの東京公演です。レギュラー番組の事がどんな結果になろうと、ツアーを成功で終わらせる事が大事です」
「分かってるよ、そんなの・・・一織」
言葉になり切れない声を絞り出しながら、一織を振り返る。
一「なら、いいです。マネージャー、私も手伝いますから急いでタクシーを捕まえましょう」
三「くそ・・・やっと、やっと夢が叶い始めたってのにのに・・・なんでだよ・・・」
そう呟いた三月の言葉が・・・オレの胸にも深く刺さった・・・