第14章 心の行方
どうしたんだ?と声をかければ、咳き込みすぎたせいで涙目になりながらもモモが僕に笑顔を向ける。
百「な、なんか喉乾いちゃって。ユキ、冷蔵庫から飲み物出していい?」
そんなに咳き込むほど、この部屋の空気は乾いてないと思うんだけど・・・と、空気清浄機に表示されている数値を見ながら、モモに言葉を返す。
「冷蔵庫・・・水しか入ってないよ」
百「えぇっ?!・・・ユキ、この前買い物したのに買ったの水だけ?!ビールは?!」
「それはいつも、モモが自発的に買ってくるから」
食べることにあまり執着がない僕に、モモはいつもここへ来る度に冷蔵庫に入れとくだとか言って、自分がよく飲む物や食べたい物を買い込んで来るから。
たまには僕が用意しておく事もあるけど、今日はたまたま在庫切れだった。
百「ちょっとコンビニまで走ってくる!適当になんか買ってくるからユキは待ってて!」
「いまから?なら、僕も行くよ」
そう言って返しても、モモはユキが歩いてると余計に目立つからお留守番してて!と笑いながら冷蔵庫のミネラルウォーターをゴクリと飲み干した。
百「じゃ、行ってくるから」
「あぁ、車に気をつけて・・・それから、知らない人にはついて行かないように」
クスクスと笑いながら言えば、モモは・・・
百「ちょっとユキ!オレそこまで子供じゃないけど?!なんなら大人の証拠見せようか?」
なんて大笑いしながら自分の服に手を掛ける。
「見せたいなら、じっくり見てもいいけど?」
そう言って笑い返せば、途端にモモは遠慮します・・・なんて言って、脱ぎかけた服をしっかりと着込み出す。
そんなやり取りを交わしてからモモをソファーに腰掛けたまま見送れば、付けたままのテレビからは、ドラマのエンディングテーマが流れだしていた。