第14章 心の行方
ユキがバンさんと組んでた期間と同じだけでいいからって、無理やりお願いしてオレがバンさんの代わりにユキとRe:valeを再開して。
その日が、もう少しで・・・来る。
ユキはバンさんが戻って来たら、どうするんだろう。
今のRe:valeをやめて、また昔みたいにバンさんと音楽をやり直すの?
その時、オレは?
バンさん待ってたよ!って言いながら、ユキの隣をバンさんに明け渡す?
ユキとRe:valeを始めた時の条件がそれなんだから、そうしろって言われたら、するしかないけど、さ。
その後、オレは?
元の・・・ユキとバンさんのRe:valeのファンに戻って、そして・・・
ちゃんと、笑える?
笑って、頑張ってください!って、言えるの?
・・・言える、の・・・?
今までと、これからと。
そして、いつか来るかもしれない、その日のことを考えると・・・ヒュッと喉の奥が詰まって息が苦しくなる。
息苦しさに、喉元をそっと押さえてみてもそれは変わらず苦しくて。
ゆっくり静かに息をすれば、それも虚しく・・・咳込んだ。
千「モモ?」
ゴホゴホと止まらない咳を飲み込むようにして笑顔を作りながら、オレを見るユキに顔を向ける。
「な、なんか喉乾いちゃって。ユキ、冷蔵庫から飲み物出していい?」
咳き込んで涙目になった所をゴシゴシと擦りながら言ってソファーを立つ。
千「冷蔵庫・・・水しか入ってないよ」
「えぇっ?!・・・ユキ、この前買い物したのに買ったの水だけ?!ビールは?!」
千「それはいつも、モモが自発的に買ってくるから」
そうだった。
いつもはオレがここに来る度に買い込んで、勝手に冷蔵庫入れてたんだった。
「ちょっとコンビニまで走ってくる!適当になんか買ってくるからユキは待ってて!」
とりあえずのミネラルウォーターをグビグビと飲み干しながら上着を掴み、まだ何か言いたそうな顔をしてるユキに大きく手を振った。
その向こうでは、スタッフロールが流れるドラマのエンディングが流れていた。