第14章 心の行方
『そうだったんですか!だから四葉さんはやたら手にメモ書きしてたんですね』
小「僕は手帳にメモは?って言ったんだけど環くんがいつも目に入る手に書いとけば忘れないじゃん!って」
身支度をしながら社長と最近の四葉さんの事を話していた。
『この前、凄くハンドソープを泡立てながら手を洗っていたので覗いたら、滲んだ文字があったから何かな?と思ってたんです』
小「アイドリッシュセブンも動き出したし、それに環くんはMEZZO"としての仕事あるからね。壮五くんにも時間のことはいつも言われてるみたいだから、環くんなりの頑張りだろうと思うよ」
確かに、この業界の仕事に無理由な遅刻やキャンセルは御法度でもあり、大事な仕事でそんなことをしてしまったら、この世界では生きて行けなくなく場合もあるから。
小「そう言えば、アイドリッシュセブンのメンバーが不在の間は万理くんに寮に寝泊まりして貰ってるけど、どう?」
『どうって、別に特に変わりはないですけど?』
そもそも私は元々割り当てられた自分の部屋があるから、空き部屋を使ってる万理とは部屋は別々だし。
というか、それは当たり前だけど。
『朝起きたら万理が食事の支度をしてたり、帰ってからは万理が食事を作ってくれたり・・・なんか寮母さんみたいな事を万理がしてくれてますよ?』
小「そうか・・・」
『なんでそんなに残念そうな感じなんです?』
小「もしかしたら万理くんとキミは仲良しさんだから、新婚さんごっことかして楽しんでたり?とか、思ったんだけど」
新婚さん・・・ごっこ?
小「ほら、よく想像でありがちなさ?・・・おかえりなさい、お風呂にする?ご飯にする?それとも?みたいな?」
楽しそうに笑いながら、まるで新妻役をする社長にガクッと脱力する。
『社長・・・さすがに私も万理もそんな事して遊びませんよ?ただただ、ごく普通に過ごしてます』
全く、どんな想像をしてるんだか・・・と笑いながら返せば、社長は自分がまだ新婚の時にはそうやって楽しんでたんだけどなぁ?なんて更に笑った。
『とにかく、そういった事は全然ないのでご心配なく!ですよ?』
小「もしその遊びをする時には、僕も呼んでね~?」
『その遊びはしません』
笑いながらキッパリと言って、支度しなきゃと鏡に向かい合えば、それを見計らったかのようにドアが叩かれる。