第14章 心の行方
むうっと膨れる七瀬さんはカワイ・・・いえ、そうじゃなくて。
「そういう顔は七瀬さんのファンに向けてして下さい」
あくまでも冷静に言って、2つのマスコットを手に取って眺める。
・・・かわいい、ですね。
ほっこりとする胸の内を隠すように手早く会計を済ませ、みんなのいる所へと何事もなかったかのように戻る。
陸「結局2個も買ってんじゃん」
「うるさい人ですね、佐伯さんへのお土産だと言ったでしょう。本人に見せてどちらか選んで貰おうかと思ったんですよ」
陸「どっちかって、残った方はどうすんだよ」
「そうですね・・・その時に考えます」
もちろん、その答えは既に出ていますが。
品定めをされる前に包みを鞄に押し込み、フイッと横を向く。
陸「かわいくないヤツ!」
「どうとでも。別に七瀬さんにかわいいだとか思われなくていいですから」
三「こら!陸も一織もケンカすんなよ?じゃ、マネージャー移動すっか?」
大「そういやMEZZO"は仕事が終わってからこっちで合流か・・・一緒に飯食う時間くらいあればいいけどな」
三「それな・・・MEZZO"の仕事が終わったら、そのまま新幹線飛び乗る感じだとか壮五が言ってたけど」
逢坂さんと四葉さんでは、どう考えても逢坂さんに負担が大きいのは分かってはいるけど、スケジュールの都合上それも今は仕方がないというか。
せめて四葉さんがもう少し、自分の事を自分でちゃんと出来ればいいのですが・・・それもまた、難しいというか。
ナ「忙しいですが、レギュラーに冠番組・・・みんなとの仕事、とても楽しいデス」
三「だよな!どんな番組なんだろうな」
「あぁ、それなら・・・」
そう言って自分が知っている限りの事を話す。
「スポンサーがスポーツブランドだとかで、番組の内容的にはスポーツを扱うようですね」
陸「スポーツかぁ・・・今から体力つけておかないとだな!まず手始めに・・・食い倒れよう!」
「体力付けるのと食い倒れる事がイコールではありませんけどね」
陸「ホンット一織ってかわいくないよな!」
「私にもかわいいは必要ありませんから」
サラリと交わしてマネージャーの横に立ちスケジュールの再確認をする。
リハーサルが終わるまでに、MEZZO"の2人が間に合うといいんですが。
始まる前から、前途多難ですね・・・