第14章 心の行方
❁❁❁ 一織side ❁❁❁
三「大阪だぁっ!!」
大「ほんとミツは、とりあえず叫ぶのな。沖縄の時も叫んでたし?」
大きな欠伸をしながら、二階堂さんが兄さんを見て笑う。
ナ「大阪、美味しいものたくさんありマス!ワタシ今から楽しみデス!」
陸「だよね!オレも大阪は初めて来たよ。この仕事初めてからいろんなところに旅行出来て嬉しいよ」
六弥さんと盛り上がる七瀬さんを微笑ましいと思いながら、自分も会話に参加する。
「あまり旅行には行かなかったんですか?」
陸「だってオレ、病気がちで入院ばっかりしてたから。修学旅行とかだってお休みして行ったことなくて。でも、友達と出掛けるのって楽しいよな」
そう答える七瀬さんに、そう言えば昔はずっと病院生活してたと聞いたことを思い出す。
「全く・・・私より学生みたいですね、七瀬さんは」
小さく笑いながら言って、ふと目線の先にあるショップの商品に目を奪われる。
これは・・・いわゆるご当地マスコットの・・・
吸い寄せられるように手を伸ばせば、にこやかな顔で近付く六弥さんの言葉にハッと我に返る。
ナ「イオリ、ご当地マスコットキャラ欲しいデスカ?」
「いえ別に。こんなチープなもの、全く欲しくはありません」
陸「一織はそうだろうなぁ。でもオレは記念に買っちゃおうかな」
こんな時、じゃあ私もと言えたらどんなにいいだろうかと考えてしまう。
けど、口から出る言葉は・・・棘のある言葉で。
「そんなくだらないものを買ってどうするんですか。首から下げて私に自慢でもしたいんですか?」
あからさまにため息を吐きながら言って七瀬さんを見る。
陸「一織・・・ホントは欲しいの?」
「なっ・・・違います!」
陸「ふ~ん?あ、そうだ!愛聖さんにもお土産に買っちゃおうかな?こういうカワイイ感じのやつ好きっぽいし」
キャッキャと楽しそうに商品を見ては戻す七瀬さんを眺めながら、なんとも言えない気持ちに駆られて、つい、私もそこへ手を伸ばす。
陸「一織は買わないんじゃなかったの?」
「そうですが、なにか?」
陸「なにか?って、だって買わないのに選ぼうとしてるから」
「佐伯さんへのお土産は私が代表して選びますよ。こういうのって、センスが問われるでしょうからね」
陸「うわっ!オレがセンスないってこと?!」