第13章 デビュー会見と、そして・・・
環「マリー。腹減ったのは分かるけど、まだ出来たって言われてないよな」
『あー、うん。そうなんだけど・・・あ、三月さん!』
キッチンでまだなにか調理をしている三月さんに声を掛けると、もうちょいだから待ってろ!と笑いながら返される。
『そうじゃなくて。もし出来たらなんですけど、お弁当箱に少し詰めて貰うことって出来ますか?』
三「弁当?愛聖、急に仕事でも入ったのか?」
『私じゃなくて、社長に・・・とか。あ、でももしかしたら万理もまだいるかも・・・』
三「社長と万理さん?別にいろいろたくさん作っちまったから構わないけど、どうしたんだ?」
調理していたものをお皿に盛り付けながら言う三月さんに、さっき思いついた事を話してみる。
『それで、きっと社長は夜遅くまで事務所にいると思うんです。社長が帰らない素振りを見せれば、万理もきっと同じように仕事をしてるんじゃないかな?って』
三「なるほどな・・・分かった。そんじゃ、社長と万理さんの分は容器に詰めてやるよ」
『ありがとうございます、三月さん。そしたら私、ちょっと着替えてきますね』
さすがにお風呂上がりのルームウェアじゃ、外歩けないから。
一「着替えてきますって・・・まさか佐伯さん、1人で届けに行くつもりですか?」
それまで二階堂さんと話をしていた一織さんが立ち上がり、私たちの方へと歩いて来る。
『事務所までなら近いし、まだこの位の時間なら1人でも大丈夫ですよ?』
一「あなたバカなんですか?いくらまだ早い時間とはいえ、芸能人でもある女性がひとり歩きするには危ないということが分からないんですか?」
『でも、みなさんはこれから食事が・・・』
三月さんが作ってくれる食事をお預けさせてまで、誰か一緒に来て欲しいだなんて言えないよ。
環「じゃ、俺が一緒に行く」
『四葉さん?!』
誰よりお腹空かせてるような四葉さんにとか、それこそお願いするのは気が引けるのに。
環「誰か一緒に行けばいいんだったら、俺がマリーと一緒に行く。いおりんも、それなら怒る理由ないだろ?」
一「まぁ、そうですね・・・では、私も同行します。もし万が一、通りすがりのファンに写真でも撮られた場合を考えれば、四葉さん1人より私もいた方が不自然ではありませんからね」