第13章 デビュー会見と、そして・・・
三月さんに勧められた事もあって、いつもと違う順番のお風呂から出る。
ドライヤーを終えてリビングへと足を運べば、ふわり・・・漂う、優しい香りにお腹が反応してしまう。
誘いを断った時の千の拗ね具合には笑ったけど、それでも三月さんのご飯がみんなと食べたいからと、今度はちゃんとお誘いに靡くからと次の約束をして別れた。
うん、今日はそれが大正解!
千が作ってくれるベジタブル料理はもちろん美味しいし好きだけど。
みんなと寮生活をするようになってからの食事も、それに匹敵するくらいで。
心弾ませながらドアを開ければ、テーブルには少しずつ逢坂さんと七瀬さんが配膳をしていて慌てて駆け寄った。
『あの、私も手伝います!!』
壮「大丈夫だよ、陸くんが今日は頑張ってくれてるから」
『でも・・・』
陸「だったらさ、オレがこっち手伝ってるから愛聖さんは環とおしゃべりでもしてあげてよ?」
四葉さんと、おしゃべり?
壮「そうだね。環くんはずっと愛聖さんの帰りを待ってたから」
ふふっと笑いながら逢坂さんが言って、こっちは任せて?なんて言ってくれるから、お言葉に甘えてお願いして、私はソファーにだらんと寝転ぶ四葉さんの目の前で、床に座った。
環「あ、マリーじゃん。え?風呂から出るの早くね?」
人の気配でムクリと顔を上げた四葉さんが、私を見て驚いた。
『今日はシャワーで済ませたから早く感じるのかもね』
そっか、と言って四葉さんは起き上がり、ひとつアクビをした。
環「そーちゃんが、マリーはスゲー仕事頑張ってるよって言ってた。あと、ヤマさんも」
『さすがに2つも撮影してると、なかなかゆっくりなんて出来ないけど、それは私だけじゃなくて同行してくれてる社長も同じだから』
撮影中、現場のすみっこでパソコンを開きながら電話応対をしているのを何度も見かけたし。
楽屋で待機してくれても大丈夫って言っても、側にいた方が安全だからねって笑ってて。
きっと社長は、前みたいな事にならないように用心してくれてるんだろうけど・・・
早めに終わった今日でさえ、今頃は事務所でまた仕事してるんだと思うと、些か胸が痛い。
社長だって、お腹空いてるはずなのに・・・あっ!
ひとつ思いついて勢いよく立ち上がれば、四葉さんが驚いた様子で私を見る。