第13章 デビュー会見と、そして・・・
「それより、こんなに早い時間に帰るとか珍しくない?いつも遅くて朝早いから、今日もそうだと思ってた」
一織にべーっ!と舌を見せてから聞けば、愛聖さんがそれを見て笑った。
『本当は撮影が終わってから、見学に来てた千たちに食事でもって誘われたんだけど、早く帰れるなら・・・どうしても食べたい物があるからって断っちゃった』
「どうしても食べたい物って?」
環「王様プリン!な、そうだろマリー!王様プリンだよな!!」
ずいっと王様プリンを差し出す環からそれを受け取りながら、愛聖さんが王様プリンも食べたかったけどね、と笑う。
環「ぜってぇ王様プリンだと思ったのに」
『大丈夫、四葉さんがくれた王様プリンはデザートで堪能しますから』
環「じゃあ、マリーはなにが食いたかったんだ?」
『それはね・・・三月さんの作ってくれるご飯です』
三「えっ?」
壮「そう言えば愛聖さん、ずっと三月さんのご飯が食べたいって言ってたよね」
キョトンとする三月を見ながら、壮五さんも愛聖さんに声をかける。
『撮影が始まってから、ずっと夕飯をみんなと食べれなかったし、逢坂さんが三月さんからだよって持って来てくれた差し入れも美味しかったけど、やっぱりみんなの顔を見ながら三月さんのご飯が食べたくて』
三「お、おぅ・・・そうかよ・・・じゃあ、アレだ。今日はもう1品、愛聖の好きなおかず増やすかな!」
大「あれあれ〜?ミツ、もしかして照れちゃったりしてる?」
三「う、うっせー黙れ!・・・急いで作るから、とりあえず愛聖は風呂でも入って来いよ」
ほのかに顔を上気させた三月がいそいそと冷蔵庫を開けるのを見て、愛聖さんが喜ぶならオレも手伝いたい!とキッチンへと押しかける。
久し振りの全員が揃う食事に胸弾ませながら、オレは壮五さんが出してくれたエプロンに頭を通した。