第13章 デビュー会見と、そして・・・
❁❁❁ 陸side ❁❁❁
愛聖さんがオレたちと一緒に夕飯食べる事が少なくなってから随分経つ気がする。
大和さんはまだ、一緒の時間を過ごす事があるけど。
やっぱり、ドラマ撮影を2つも掛け持ちしてる愛聖さんは・・・忙しいからだろうなぁ。
夜遅くに帰ってきたと思えば、朝にはもういなかったしてさ。
朝食の支度をしてくれてる三月だって、最近は愛聖さんと顔を合わせてないって言ってたし。
早起きの一織だって、夜更かししてるナギだって、愛聖さんを見てないって言ってた。
「なんか寂しいよなぁ・・・」
思わず溢れた言葉に、三月の隣で洗い物をしてる壮五さんが顔を上げる。
壮「もしかして、愛聖さんのこと?」
「うん・・・壮五さんは同じドラマに出てるんだよね?現場で愛聖さんとは会うでしょ?」
壮「僕の出番が愛聖さんと被ってる時は会えるけど、そうじゃない方が最近は多いから会えない時もあるよ」
「楽屋は一緒じゃないの?」
壮「さすがに女性と同じ楽屋は使わないよ。部屋が隣同士だったりする事もあるけど、だいたい離れてる場所の時がほとんどだよ。陸くん、愛聖さんに会えなくて寂しい?」
三「壮五。そうじゃなかったら、陸がこんなにため息ついてションボリしてるわけねぇだろ。それに陸?寂しいって思ってるのは、お前だけじゃないぞ?・・・ほら、あっち見てみ?」
リズム良く包丁の音をさせていた三月が手を止めて、チョイチョイっと指差す方を見れば、そこにはソファーに座って王様プリンを持ったままボンヤリしている環がいて。
「えっと、いつもの光景じゃない?学校から帰ったら環はいつも王様プリン食べてるじゃん」
三「そうじゃねぇよ。あの王様プリンの封を開けた瞬間に完食する勢いで食ってる環が、さっきからずっとあんな感じだっつうの。まだひと口も食べてないみたいだぞ?」
ひと口も?!
もう1回振り返って環を見れば、確かにプリンやスプーンは持ってるけど、それを使った形跡はなかった。
「環も寂しいって思ってるのかな?」
壮「そうだね。環くんは愛聖さんが大好きだって豪語してるくらいだから。それに環くんはあんな大きな体でも、愛聖さんには甘えっ子してるしね」
・・・それは確かに。