第13章 デビュー会見と、そして・・・
❁❁❁ 百side ❁❁❁
「ねぇ、ユキ。マリーってさ、こうやって撮影を見てるとスゲーなって思うのはオレだけ?」
まだカメラも回ってないのに抱き合う2人を眺めながら、ユキの顔を見る。
千「そうね・・・僕たちといる時の愛聖は、甘えん坊で、泣き虫で、意地っ張りだけど」
さっきまではリハなのにNG連発して悔しそうな顔してたのに、ほんの少しの時間で気持ち作り直してとか、それはオレたちだってステージがある時は同じだけど。
いや、違うか。
オレたちの場合は、オレたちを応援してくれるファンの子たちばかりが集まる場所で、だけど。
マリーの場合はそうじゃなくて。
どんな相手でも。
どんなシチュエーションでも。
その時どんな感情だとしても。
仕事って割り切って挑まなきゃいけなくて。
だから、今も・・・
「・・・って!あぁもう、なんかモヤモヤする!オレも混ざりたい!ギューってしたい!混ざりたーい!」
千「モモ、欲望が漏れだしてる」
「だってさー!見てるだけとかつまんないんだもん!周り関係なくマリーとイチャイチャしたーい!」
千「モモは、いつもしてると思うけど?そして、愛聖に怒られてる・・・僕もだけど」
・・・確かに。
千「モモ、静かにしないとおかりんに連れ出されちゃうよ?ほら見て・・・始まるみたいだ」
ユキに言われてマリーたちの方を見れば、ピッタリくっ付き合ってた体を離して、微笑み合う2人がいて。
それはそれで、なんかズルい!と思っちゃうけど。
でもマリーは、ちゃんとお仕事モードの顔になってて。
スタッフが抱き抱えていた共演の仔猫を受け取り、スタンバイに入る。
千「あの仔猫と代わりたい」
ぽつりと言って小さく笑うユキに、ユキだっていろいろ漏れてるじゃん!と笑いかけながら、回り出したカメラから送られてくるモニターに・・・視線を動かした。