第13章 デビュー会見と、そして・・・
これで大丈夫!と早足で元の場所に戻れば、監督が二階堂さんと細やかな打ち合わせをしていて。
『すみません!宜しくお願いします』
「おー、来た来た。じゃ、とりあえずリハから言っとくか?それともぶっつけ本番しちゃう?」
そんな、お風呂にする?ご飯にする?みたいな流れで言われても・・・と笑いながら、カメラワークもあるだろうから予定通りリハからで大丈夫ですと答える。
「そう?じゃ予定通り行くか・・・おーい!スタッフ集合!そろそろ始めるぞ!」
監督が待機してたスタッフさんに向けて叫べば、バタバタと慌ただしくスタッフさんたちが各自のポジションへと配置につく。
「佐伯さん、メイク整えますね」
「二階堂さんも、ヘアセットのチェックしましょう」
私たちにも担当してくれてるスタッフさんが駆け寄り、それぞれの手直しを手際よく行ってくれる。
そして、いざ・・・リハを始めるも。
「違う違う!どうしちゃったの佐伯ちゃん!」
『すみません!もう1回お願いします!』
今までは特にこんなにリハでやり直すとかなかったのにと思いながら、はぁ・・・と息を吐く。
大「あー・・・あのさ愛聖。お前さんにしては随分と珍しいけど、もしかしてオレになんかあるのか?その、やりづらいとか」
『そういう訳じゃなくて・・・どうしても、どこか上手く回らないっていうか・・・あっ!』
多分、普段と違う雰囲気がダメなのかも?!
気にしたらダメだと思えば思うほど、なんかこう・・・意識しちゃう感じとか。
今だってほら・・・千も百ちゃんも、すっっっっっごい見てるし!
こうなると、ホントに自分で自分をなんとかしないと撮影が進まなくて周りに迷惑ばっかりかけてしまう。
じゃあ、どうする?
目を閉じて、自分がいま置かれてる立場をよく考えてみる。
役柄、ストーリーの流れ、現状・・・そして、ここから先の展開。
そして、漸くひとつだけ解決策が浮かぶ。
ちょっとそれにも抵抗はあるものの、現状突破するには役に入り切ることがなりよりだから。
よし・・・と小さく頷いて、二階堂さんの顔を真っ直ぐに見る。
『二階堂さん、お願いがあるんですけど・・・いいですか?』