第3章 新しい環境
七瀬さんのひと言に、みんなが目を丸くした。
それは私や万理も同じで、ただ、小鳥遊社長だけはニコニコと穏やかな笑顔を崩さなかった。
小「陸くんの気になるところは、そこ?」
陸「え?あ、はい···いえ」
一「どっちなんですか···」
急にしどろもどろになる七瀬さんに、一織さんがため息をついた。
小「ん~···どうしようかなぁ、僕が答えてあげるのは簡単な事なんだけど。でも、当事者がいるんだから、この際···直接聞いちゃってみる?」
万「社長?!」
『えっ?!あっ!』
突然の社長の言葉に、手にしていたカップを落としてしまう。
『熱っ···すみません、とんでもない粗相を···』
ナ「そんなことより!すぐに冷やしマショウ!!」
『あ、ちょっとナギさん?!』
グイッと腕を引かれ、キッチンへと連れて行かれる。
ナ「ヤケドの痕が残ったらいけません!とにかく冷やさなければ···」
ガラガラとボウルに氷を入れたナギさんが私の手を掴んだまま中に沈める。
『冷た···』
ナ「心配アリマセ~ン!この手は冷やされても、ワタシの愛は冷えることアリマセンよ?」
顔を近付けニコリと微笑むナギさんに、妙に照れてしまう。
『あの、ちょっと···近過ぎませんか···?』
体を少し離そうとしても、空いている手で肩を抱かれて動けなくなってしまう。
ナ「ワタシたちの愛の熱で、この氷が溶けてしまいそうデスネ」
『あ、愛?!』
三「バカ!そんなこと言ってる場合じゃねぇだろ!ナギは愛聖にくっつき過ぎ!は~な~れ~ろ!ついでに言えば、ヤケドの応急処置は氷使うな!冷やし過ぎはダメなんだぞ!」
無理やり間に割って入った三月さんが、ボウルの氷をざっと流して水道水を当てる。
三「ほら、後はオレが見るからナギは戻れって」
ナ「ワタシもお手伝い、」
三「ハウス!いいからナギはハウスしとけ!」
三月さんに言われたナギさんが、大げさなくらいにしょんぼりして見せながらテーブルへと戻って行くのを見送った。
三「痛いか?ヤケドは最初の処置が肝心だから、痛みがなくなるまではひんやりするくらいの水道水で流しとかねぇとダメなんだ」
『そうなんですね···じゃあ、しばらくここで冷やしてます』