第13章 デビュー会見と、そして・・・
二階堂さんと揃って監督に呼ばれ、撮影の流れと、それからいくつかのカメラワークをチェックする。
「ま、こんな感じにカメラ回すから宜しく頼むや。メインの所は二階堂くんと佐伯ちゃんに任せるからアドリブ入れちゃって盛り上げてくれてもオッケーだからね〜」
『アハハ・・・』
盛り上げてくれてもって、言われてもねぇ・・・
隣に並ぶ二階堂さんを見れば、きっと同じような事を考えていたのか、二階堂さんも同時に私を見て苦笑・・・・・・しているかと思えば、なんかニヤついてる?!
さっきまであんなに微妙な感じだったのに、なんで?!
お昼休憩の後から今のこの瞬間までにどんな心境の変化が?と思いつつ見続ければ、二階堂さんはスルッと私の腰に腕を回して引き寄せ怪しげな微笑みを監督へと向けた。
大「そんな、アドリブ全開とか言われたら・・・いろいろと止まらなくなっちゃいますよ、監督?」
『ふぇっ?!ななな、なに言ってるんですか二階堂さん?!』
体を押し返すようにして言えば、二階堂さんは怪しげに笑ったまま私の耳元に顔を寄せる。
大「さっきここへ入る時に九条に呼び止められて言われたんだよ」
『天が、なにを?』
大「ガッチガチの愛聖の緊張感はボクが解いておいたから、多少は何しても大丈夫・・・とか、なんとか?恋人役のお兄さんを差し置いて、九条にナニされて来ちゃったのかなぁ?」
ちょっ・・・天?!
ギギギッと油を差してないロボットのように首を動かしぎこちなく見回して天を見つけ、さっきのアレを二階堂さんに話したの?!と視線を投げれば、それに気付いた天が楽しそうな笑いを浮かべてパチン!とウインクを返してくる。
そんなウインクいりませんからァ!!
大「こらこら、よそ見しないの。ほら、ちゃんとこっち見なさいって・・・で、ナニされてたのかなぁ?ん?」
『て、天とは別になにも』
大「ふ〜ん?ホントに?」
『あ、あの、二階堂さん、顔近いです』
グッと近付いて覗き込む二階堂さんの体をぐいぐいと押しても、力の差は歴然としていて。
「まだカメラも回してないのにノリノリじゃないか。これは期待大!って所かな?」
満足気な顔を見せる監督に、周りのスタッフも笑い出す。
誰か助けて下さい!!
そんな願いを叶えたのは、突如として聞こえて来たひと声だった。