第13章 デビュー会見と、そして・・・
❁❁❁ 天side ❁❁❁
『あ、天だ』
「なにそんな珍しい珍獣にでも会ったような顔してんの?さっきまで一緒に撮影してたでしょ。それにここはボクの楽屋の前だけど?」
『それはそうだけど・・・』
缶ジュースを片手に歩く愛聖を見て言えば、愛聖はサッとそれを隠すような仕草を見せる。
「お昼ご飯の後なのに、まだそんな甘そうなもの飲む気?」
『別にいいじゃん、ちょっとくらい。なんだか変に緊張して来ちゃって、気分転換にって思ったんだもん』
緊張?
おずおずとしながら言う愛聖を見ながら、この後の撮影は・・・と台本の流れを頭に思い浮かべてみる。
「あぁ、なるほどね。同じ寮で生活する人間とのキスシーンがそんなに緊張するの?」
『い、言わないで天・・・余計に固くなっちゃうから』
「たかがちょっとしたキスシーンでしょ?そんなの今までだっていくらでもして来たと思うけど?例えば、あのCMの時の楽や龍とか?」
ボクたちTRIGGERと共演したランジェリーのCMは、ボク自体はそんな感じではなかったけど、楽や龍との撮影はしっかりそういうシーンは交わしてる。
『あれはまた別物でしょ!はぁ・・・なんか今の天の言葉で余計に緊張して来た・・・さっきやっと腹を括る覚悟はしたハズだったのに』
「ボクのせいにするの?心外なんだけど」
『だって天が・・・』
急に声を小さくして、それでもボクのせいだと言わんとする愛聖に、仕方ないなとわざとらしく笑って見せる。
「分かった。NG連発されてスケジュールが押されるのも面倒だから、ボクがいまここでリハに付き合ってあげるよ」
『え?ここでリハって??』
とは言っても、ここは関係者が通る場所だし・・・
「愛聖、ちょっとこっち来て」
『こっちって?あ、ちょっと天?!』
戸惑う愛聖の手を引いて、そのままボクの楽屋に引き込みドアを閉める。
『リハって、どういうこと天?』
ドアの横の壁にグイッと愛聖を押さえ込み、まだ疑問を投げかけて来る愛聖を言葉を遮るように軽く口付ける。
『て、天?!』
驚きを隠せない愛聖に微笑みかけて、確かあの人のセリフは・・・と考える。
あぁ、そうだ。
「悪ィ、アンタを見てたら抑え切れなかった」