第13章 デビュー会見と、そして・・・
❁❁❁ 大和side ❁❁❁
会見から寮に戻ってすぐ、数日前に配られた台本に目を通さないとな・・・と息を吐きながらソファーに腰を下ろす。
愛聖は女優業だし、そりゃいつかは何かで共演くらいあるかも?とかは思っていたけど。
まさかねぇ・・・こんなに早く、そんな日が来るだとか。
しかも・・・恋人役、と来たか。
オレがテロリスト集団の一員で、愛聖がそれを捜査する人間なのに、それぞれお互いがお互いの素性を知らないまま恋に堕ちて、愛を育む・・・とか。
なんでオレがテロリスト集団の一員で選ばれたんだ?
難しい役どころだけど頑張ってくれ、あっはっは・・・なんて、監督は笑ってたけどな。
笑い事じゃないだろうよ!
つか、笑えないだろ。
同じ部屋までと行かずとも、同じ建物で、共有の場所もたくさんある寮生活してるっつうのに。
アイツらにはバレてるし・・・そういや、ソウも愛聖と時代物のドラマで共演すんだよな?
時代物の方の愛聖は、遊廓の女で、ソウは確かその遊女と絡む役立ったよな?
ん・・・絡む?
いやいやいや、いくらなんでも絡むって・・・いや、無くはないか?
だって遊女って来たら、まぁ、その、アレだ、よな?
女のイロを売る・・・みたいな、アレだよな?
ぽわんと浮かんでくる愛聖の花魁姿と、それに寄り添うソウが浮かんで・・・
壮「今夜は・・・いい?」
『今宵は、主さんのお好きなようにしておくんなし・・・』
とか、そういうセカイだろ?!
そもそもなんでソウが抜擢されたんだ?
まぁ、オレがそっちに呼ばれても断る選択しかないけどな。
だって向こうには・・・いや、今は考えるのはやめよう。
今はオレは、アイドリッシュセブンのメンバーで。
オレをリーダーと呼んで集まる仲間がいるから。
「さてと・・・おにいさん頑張りますかね」
三「あ?なんか言ったか?」
「いーや、なんも?」
キッチンで洗い物をするミツに笑い返して、部屋にいるからと告げてその場を離れる。
愛聖と疑似恋愛、ねぇ。
役作りはどうしたもんか・・・
頭の片隅でこれからを考えながら、部屋に戻って台本を捲り始めた。