第13章 デビュー会見と、そして・・・
小「どしたの?急に赤くなったり青くなったりしてるけど・・・」
『だ、だだだ大丈夫です!二階堂さんとのラブシーンあったりしたらどうしようとか考えてな・・・あ・・・』
何を口走ってるの、私!
ふーふーと息を整えながら顔を仰げば、社長はとても楽しそうに笑い出す。
小「恋人役っていったら、もちろんあるんじゃないのかな、濃厚ラブシーン。う〜ん、大和くんも愛聖さんも表現力は素晴らしいから、僕は楽しみだなぁ」
『社長!!』
の、濃厚って、どんなのですか?!
そりゃあ、前に活動してた時そういうシーンを経験してない訳ではない。
けど、それは他事務所の役者さん達とばかりだし、今回は同じ事務所所属で、しかも同じ寮で生活してる相手ですよ?!
ひとりあたふたしながら、着崩れたりしていないか鏡で確認をしていると、遠慮がちにノックされるドアの音に振り返り、社長がそのドアの応対に出る。
小「はい、お待たせしました・・・これは失礼致しました。本来こちらからご挨拶に伺わなければならないというのに、御足労お掛けしてしまって申し訳ありません」
・・・社長がこんなに丁寧に対応するだなんて、いったい誰が来たんだろう?
「いやいや、そんなに畏まらないでくれ。スケジュールの都合で遅れて来たのは僕の方なんだから。もし迷惑でなければ、少しお邪魔しても?」
小「邪魔だなんてとんでもない。ぜひごゆっくりなさって下さい、千葉さん」
「それじゃ、遠慮なく」
・・・千葉さん?
って、あの千葉志津男さん?!
「やぁ、どうも初めましてだね。先日の顔合わせには都合で出られなかったから申し訳なかったね」
『い、いえ!こちらこそ本日はよろしくお願い致します!』
想像すらしていなかった訪問者に、さすがの私も動揺を隠しきれずにいると、千葉さんは私の着付けられた衣装を見てにっこりと微笑みを浮かべる。
『あの・・・どこか変、でしょうか?』
「そんな事はない。ただ・・・」
『た・・・ただ?』
「こんなに若くて可憐なお嬢さんを、僕が手篭めにしてしまっていいのかな?なんてね」
『て、手篭め・・・?!』
貫禄ある姿から飛び出すワードに思わず胸元を押さえ込めば、千葉さんは堪らず吹き出してしまう。
「冗談だよ。本気で襲ったりはしないから安心しなさい」