第13章 デビュー会見と、そして・・・
『そうですけど・・・ホントに私で良かったんでしょうか。だって、この役柄から言ったら私よりも適役な女優さんとかたくさんいると思うのに。ダメ元で受けたオーディションが、まさか受かってただなんて』
小「僕は見たいけどなぁ?愛聖さんの可憐で艶めいた・・・遊女姿。時代物に壮五くんもって声を掛けられた時は驚いたけど、彼の役柄も愛聖さんとの絡みがあったりとか、気になるなぁ」
製作者側のオファーで、逢坂さんがピックアップされた事には社長だけじゃなくて私も、他のメンバーも驚いたし、何より逢坂さん本人が一番驚いてはいたけど。
その配役が華道のお家元の跡継ぎ息子・・・と聞いて、妙に納得しちゃったり。
だって逢坂さんって、普段から身のこなしというか、物腰が柔らかいというか・・・まるで本当にどこかのお金持ちの子息なんじゃないか?ってくらい綺麗な立ち振る舞いだし。
『でも遊女姿がみたいだとか、社長・・・なんかちょっと、エッチ・・・』
小「えっ?!なんで?!」
『だって遊女ですよ?艶やかで素敵な衣装は着ていても、ほとんど肌は露出してるっていうか・・・』
最低限、隠すところは隠してるような着付けだし。
さりげなく自分の今の姿に目をやれば、社長はそれでも自分の頑張りで貰えた仕事なんだから誇りを持って務めなさいと、私の肩に手を乗せた。
小「それにほら、もうひとつの連続ドラマの方は大和くんと共演じゃないか。同じ事務所から同じ作品に、しかもダブル主演だなんて僕も嬉しい限りだよ」
うんうん!と頷きながら、しばらくはオフなんてあげられないかも知れないけど頑張って?と笑う社長を見て、それはそれで複雑な心境だな、と笑い返した。
二階堂さんとのドラマ共演は嫌ではないけど。
お互いの役柄から言えば、少し恥ずかしいというかなんというか。
だって、仕事が終わって寮に帰っても一緒なのに。
その・・・こ、恋人役とか!
そこが何より恥ずかしいよ!
まだそっちの仕事は顔合わせとかもこれからだから何とも言えないけど、配布されている設定資料を社長室で開いた時に、二階堂さんと顔合わせて妙な空気になった事は言うまでもなく・・・
その後の寮までの道のりが長く感じた事も確かだった。
まぁ、読み合わせするのは便利だと思うけど・・・恋人・・・そ、そういうシーンとか、あったりするのかな?