第13章 デビュー会見と、そして・・・
陸「やっとここまで来れたって感じです。本当に、オレたちを応援してくれたファンのみんなと、それから、オレたちより少し早くデビューして、みんなの道を作ってくれたMEZZO"の2人にも・・・感謝の気持ちでいっぱいです!」
テレビの向こうでは、眩しい光を浴びながら会見に臨んでいるアイドリッシュセブンのみんながいる。
今日、いろいろな壁を乗り越えて・・・デビューする事になって、社長が用意した会見場で晴れの舞台を踏む姿は、やっぱりカッコよくて。
その輝かしい笑顔につられて、私も目を細めてしまう。
ただひとつ、残念なのは・・・
「デビュー曲なんですが、新曲ではなく既存の曲になってますよね?それはどうしてですか?」
陸「あ、えっと・・・それは・・・」
やっぱり来たか・・・と言わんばかりの記者からの質問。
大「それは、この曲がオレたちにとって思い出深い曲でもあるからです。な、リク?」
陸「あ、はい!そうなんです!オレたちが初めてライヴをした時の曲が今回のデビューで」
二階堂さんのフォローを受けながら、七瀬さんが記者にそう返す。
本来ならば、アイドリッシュセブンのデビュー曲は違うもので。
だけどそれは、どういう理由なのかは分からないけどTRIGGERの新曲として世に出てしまった。
それはもう、誰がどうしたって・・・覆らないことでもあって。
最終的にみんなと社長が決断した答えが、アイドリッシュセブンとして活動し始めた時に、最初に歌った・・・あの曲で行こうと、そういう事になった。
『私も・・・みんなの晴れ姿を近くで見たかったな・・・』
つい呟きを漏らせば、隣で一緒にテレビから流れる会見の様子を見ていた社長が私を見て穏やかに笑う。
小「そうだね。だけど、愛聖さんには愛聖さんの仕事が飛び込んで来たじゃないか。僕は連絡を受けた時、とても嬉しかったよ?愛聖さんは違うの?」
さっきの穏やかな微笑みとは違って、今度は悪戯っぽく社長が笑う。
『それは私も嬉しかったし、驚きもしましたけど・・・でも、同時に2つの大きな仕事が貰えるなんてホントにビックリです』
そう。
私はいま、少し前に幾つか受けていたオーディションの中から採用されたドラマの仕事で撮影所にいる。
小「凄い事だと思うよ?あの大御所俳優と共演出来る時代物だなんて」