第3章 新しい環境
あれ、なんか予想と違う??
ひとり眉を寄せて考えていると、耳元に顔を寄せた二階堂さんがクスリと笑って囁いた。
大「オレを騙そうとしてもダーメ。それよりさ、入口の二人がマジになってこっち見てんだろ?面白いからこのまま小芝居続けてみようぜ?」
いたずらっ子のように笑う二階堂さんを見て、思わずため息が出る。
『···誰得ですか、それ』
大「そりゃ、オレ得。それにちょっとくらい平気だろ」
『こんなイタズラして、後で万理やみんなに怒られても知りませんからね、私』
大「はいはい。じゃ、続きな?···ずっと感じてたんだ。アンタがオレを···変えてくれるんじゃないか?って」
···これ、続ける意味あるの?
よく分からないセリフに疑問の顔を向けると、口パクだけで“はやく”と急かされた。
付き合うしか、ないみたい。
『私で···いいんなら』
大「アンタがいいんだよ···愛聖」
『二階堂さん···』
大「名前で、呼べよ···」
『···大和さん』
これ、いつまでやるの??
顔を傾けながらじわじわ近付く二階堂さんに、これ以上は···と言おうとした所でスタスタと足音が聞こえてきた。
万「はい、カット!···二人ともそこまでね?···ほら、陸くん固まってるから」
大「あ~、やっぱ万理さんにはバレてた?」
万「バレバレだって。大和くんがあんな風に部屋に押し入るとか、普段からないだろう?」
···最初からバレてたんだ。
万「だけど、純粋な陸くんは···」
そう言って振り返る先に、顔を真っ赤にした七瀬さんがいた。
大「お子様には刺激が強すぎた···って感じ?」
『刺激がって、まだ何も···』
大「リクはそーいうヤツなんだよ。さてと、ミツとソウが待ってるから。ついでに言えば、さっきのアレは···お互い忘れようってコトて纏まってるから、な?」
改めてそう言われると、ぎこちなくなりそうな気もするけど、言葉にする事で私に変な気を使わせないようにしてくれてる···と思っていいのかな?
大「あ、万理さんも休憩してく?リク、いつまで固まってんだよ、早く行くぞ?」
歩き出しながらテキパキと纏め出す二階堂さんを見て、なるほど···と笑いが漏れた。
こういう人だから、みんながリーダーって集まるんだね。