第12章 小さな亀裂
「そうじゃなくて!一織も、三月と仲良いし・・・千さんと一織って、ちょっと似てるところあるよなぁって思っただけだよ」
一「ありますか?そんな所なんて。いま言ったばかりでしょう?あそこには特別な空間があるんだ、と」
オレの言った事に一瞬目を丸くしながら、一織は愛聖さん達の方を見て静かに微笑んだ。
ほら、そういう所だよ一織。
いつもは愛聖さんがドジっ子したりすると、一織の方が年下なのにちゃんと怒ったりしてるのに。
なのに、あんな風にはしゃぐ愛聖さんを見ると、そっと見守ってるって言うか。
「・・・って言うかさ!なんかズルくない?!ずっと見てるけど、Re:valeの2人って愛聖さんにベタベタベタベタして!」
一「な、七瀬さん聞こえてますよ?!」
思わず声に出してしまった言葉を飲み込むように咄嗟に口を押さえるも・・・時すでに遅く。
千「ごめんね、帰るのが遅くなっちゃうよね」
にこりと微笑みながらこっち千さんが歩いて来る。
「や、やばい一織。今のばっちり聞かれちゃってる」
一「自業自得ですね。自分で何とかして下さい」
ううう・・・どうしたらいいんだよ、オレ!
千「ほら、愛聖。みんなも待っててくれてたし、続きはまた今度・・・僕の家でゆっくり、ね?」
『続きって、別に何もしてないじゃない。誤解を招くこと言うのはやめてよ?』
千「じゃあ、誤解じゃなければ・・・いいんだね? 」
なんのこと?って言いながら、愛聖さんが千さんを見上げて。
その瞬間・・・千さんが愛聖さんに、キスをする。
まぁ、ほっぺにだけど。
『ちょっと千!そういうの公共の場でやめてよ!』
千「だから続きは僕の家でって言ったのに」
クスクスと笑う千さんと。
あたふたしながら千さんの胸を押す愛聖さんと。
百「あーっ!ユキばっかりズルい!オレもオレも!!」
『だから、百ちゃんまでやめてってば!』
・・・飛び入り参加する、百さん。
やっぱ、仲良いよなぁ。
オレももう少し愛聖さんと仲良くなれたら・・・もしかしたら、そういうのに参加しちゃったりとか・・・じゃなくて!
なんでそんなことを考えてんだオレ!
ほわん・・・と浮かんでしまったビジョンをかき消す様に、ブンブンと頭を振ってみる。