第12章 小さな亀裂
❁❁❁ 陸side ❁❁❁
『百ちゃん、今日はありがとう・・・って言っても、お酒入ってて覚えてないかも?』
そう笑いながら、愛聖さんが百さんのほっぺをツンツンとつつく。
千「そうね・・・でも、僕がちゃんと伝えておくよ」
『千もモモちゃんを迎えに来てくれてありがとう』
千「愛する愛聖から頼まれたら、どこにいたって飛んで来るに決まってる」
そう千さんは微笑んで、愛聖さんの頭をぽんっとする。
こうやって見てると、やっぱりRe:valeと愛聖さんて仲良いよなぁ。
事務所とか経歴とか関係なく、あんな風に出来るのは・・・ちょっと羨ましいな、なんて思う。
オレだっていつか、天にぃとそんな風に出来たら・・・
一「七瀬さん。そんなにジロジロ見るのは失礼ですよ」
ぼんやりと3人の様子を見ていれば、スっと隣に立った一織がオレを見た。
「ジロジロだなんて見てないよ!」
一「見てましたよ。どうせ、愛聖さんとRe:valeって仲良いなぁ・・・だとか、考えてたんじゃないんですか?」
「なっ・・・なんで分かるんだよ!」
一「七瀬さんはわかりやすいんですよ」
くっそ・・・一織のやつ、なんでいつもオレの心を読むんだよ。
「いいじゃんか別に。事務所とか、なんかそういうの関係なく仲良しだとかさ」
一「悪いだなんて言ってませんよ。これから私たちが飛び込む世界で、あの3人の空間は特別だというのが見ていて分かる、と言うことです。昔からの知り合いで、お互いの苦楽を知っていて。そういうの、大事だと思いませんか?」
それは、そうかもだけど。
一「佐伯さんはRe:valeだけに、Re:valeは佐伯さんだけに見せている顔があるってことです。それは、お互いに全てをさらけ出せる存在でもあると言えるのでは?」
確かに、あんなに楽しそうに笑ったり話したりする千さんって、テレビとかじゃ見れないよな。
オレが今まで見てきたテレビの中のRe:valeって、百さんはともかく、千さんってクールビューティっていうか。
あれ・・・そういうのってちょっと、一織に似てる?
一織も普段はクールにしてるけど、三月と話す時は笑ったりデレたりしてるし。
一「七瀬さん・・・私の顔になにか付いてますか?」