第12章 小さな亀裂
百「よーっし!今日は特別!」
大「うわっ!そういう趣味は・・・」
楽しそうに笑いながら、百さんがオレたちのほっぺにもキスをして回る。
千「今夜のモモは、ほんとに楽しそうだ」
そんな百さんを見ながら、千さんも笑い出した。
環「なぁ、ももりん。そろそろ、マリーを返してくんねぇ?俺たちのマリーなんだし」
壮「た、環くん?!大先輩になんて事を!!」
軽くあくびをしながら言う環に、壮五さんがハッとして駆け寄る。
環「だって、ももりんが、えっと・・・無礼講?って言ってたし」
壮「だからって!」
わちゃわちゃとする2人に、百さんが今日は無礼講って言ったのオレだからいいよ!って言いながら豪快に笑う。
大「そんじゃ、無礼講ついでに愛聖を奪還しますかね?ほら、愛聖」
『え・・・っと、二階堂さん?』
揺らぐことなく真っ直ぐ伸ばされた大和さんの手に、愛聖さんが戸惑いを見せる。
大「おまえさんは、オレらの後輩・・・なんだろ?」
三「だな!ほら、遠慮すんなって」
環「マリー・・・ん」
壮「愛聖さん、どうぞ?」
ナ「マリー?どうぞワタシの手を取ってクダサイ?」
大和さんに続くように、次々と伸ばされる手に愛聖さんが瞬きを繰り返す。
その目元には、うっすらとキラキラした物が浮かんでいて。
一「モタモタしてると、こちらから捕まえに行きますよ」
穏やかな目で愛聖さんを見ながら、一織もそっと手を差し出す。
「一織は素直じゃないなぁ?じゃあ、オレも!」
みんなに続いて手を伸ばして見せれば、愛聖さんの背中をRe:valeの2人がそっと押した。
百「ほら・・・マリーの帰る場所はちゃんとここにあるじゃん!」
千「そうね・・・でも次は返さないから・・・そのつもりで」
嬉しそうに頷いて、愛聖さんがオレたちのところに戻る。
『あの、みなさん・・・ただいま、です』
「「 おかえりなさい! 」」
みんなでそう言って、伸ばした手で愛聖さんを引き寄せる。
大「そろそろ帰りますかね・・・酔い覚ましに歩きで」
『・・・はい!』
いろんな事が起きた一日が、ようやく終わろうとしている。
そんな、月の輝く夜だった。